作:五味太郎 出版:小学館
夏を一言で表すと・・・。
それは「ぐんぐん」。
嘘だと思うなら、この絵本を見てみてください。
あらすじ
寝ている子に、「ぐんぐん」と夏の音が聞こえてきた。
外に出ると、花や豆の木が「ぐんぐん」大きくなっている。
空には白い雲が「ぐんぐん」伸びる。
お日さまも「ぐんぐん」大きく明るく照らす。
夏は友だちと、「ぐんぐん」遊ぶ。
ボートを「ぐんぐん」膨らませ、海へ「ぐんぐん」漕ぎ出す。
街が「ぐんぐん」遠くなる。
でも、街が見えなくなると、心細くなって・・・。
『なつはぐんぐん』の素敵なところ
- 「ぐんぐん」の一言で表される夏
- 夏ならではのものに気付く
- 色々な夏の「ぐんぐん」を探したくなる
この絵本では、夏ならではのものを「ぐんぐん」という言葉で表現していきます。
伸びる草木。
入道雲。
照り付ける太陽。
どれも、さまに「ぐんぐん」と言った様子で、納得してしまいます。
夏の溢れる生命力を、「ぐんぐん」という一言に、見事に凝縮しているのです。
見ている子も、
「確かに、雲おっきいもんね!」
「夏野菜もぐんぐん伸びてる!」
と、「ぐんぐん」を実感しているみたいでした。
そんな表現の面白さと一緒に、夏ならではのものに気付くきっかけになるのも、この絵本の素敵なところです。
夏は雲が大きくなったり、太陽が光り輝いていたり、水遊びが楽しかったり。
そんな当たり前過ぎて、素通りしてしまいそうなことを、立ち止まって考える機会になるのです。
全部、夏ならではなことに気付くと、他にもたくさん出てきます。
スイカ、夏休み、プール、浮き輪。
夏の楽しいことをたくさん見つけ、より夏が楽しみになって、ウキウキしてくるのです。
さて、夏ならではなことに気付くと、そこから「ぐんぐん」なものも探したくなってきます。
絵本に出てきていない「ぐんぐん」。
「あ、ご飯もぐんぐん食べたくなる!」
「ぐんぐん泳げる!」
「背もぐんぐん大きくなるよ!」
と、他の「ぐんぐん」にも繋がっていきます。
「ぐんぐん」を通して、言葉を考えることで、言葉や表現の面白さを味わえるのが、この絵本のとっても素敵なところです。
夏を「ぐんぐん」の一言で表現してしまう。
夏の楽しさと、言葉の楽しさ、両方を思い切り楽しめる絵本です。
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