あめふり(3歳~)

絵本

作・絵:さとうわきこ 出版:福音館書店

降りやまない雨。

そんな雨を、止ませる方法があるとしたら。

驚きの方法で雨を止ませる、ばばばあちゃんのお話です。

あらすじ

雨がじとじと降り続いていたある日。

外で遊びたい子イヌと、子ネコと、ばばばあちゃんは、雲の上にお願いした。

「時々休んじゃくれないかね」と。

すると、雨はますますひどくなった。

ばばばあちゃんが怒って、雲の上に文句を言うと、さらに大雨が降ってきた。

雷まで鳴り出したのを見て、ばばばあちゃんはカンカン。

ばばばあちゃんは、「いい考えがある」と、ストーブに薪をくべ火をつけた。

どんどん薪を燃すと、今度は家の中にあったいらないものをせっせと運んできた。

いらないものを暖炉に入れて燃やしていくと、ストーブからも暖炉からももくもく煙が出てきた。

そして、燃える暖炉とストーブの中へ、コショウと唐辛子を放り込んだ。

すると、家の煙突から、辛い辛い煙が出て、空一面に広がった。

煙が雲に届いた時、雲の上のかみなりたちがくしゃみをし始め、雲まで大きなくしゃみをし始めた。

あんまりくしゃみをしたので、雲たちは千切れてしまった。

千切れた雲から、かみなりたちは真っ逆さま。

みんな空から落ちてくる。

雨は止んだけれど、かみなりたちはどうなってしまうのでしょう。

『あめふり』の素敵なところ

  • ばばばあちゃんらしいパワフルな雨の止め方
  • 個性豊かなかみなりたち
  • 落ちた後のかみなりとばばばあちゃん

この絵本の見どころはなんと言っても、ばばばあちゃんの雨の止ませ方でしょう。

ばばばあちゃんらしい、パワフルな実力行使。

まさか、手の届かない雲へ、煙で攻撃を仕掛けるとは思いもよりません。

特に、薪やいらないものを燃やし、準備をしている時の流れがワクワクドキドキ。

ばばばあちゃんが準備している間にも、外は大雨で庭が大変なことになっているのです。

ばばばあちゃんが準備をする一場面ごとに、子イヌと、子ネコがかけてきて言います。

「庭中が滝みたいだ」

「川が溢れて庭に入って来たよ」

「庭中、川になちゃった」

「もうだめだ。庭中が海になっちゃった」と。

徐々に大変なことになっていく状況と、ばばばあちゃんの進んでいく準備で、「一体どうなるんだろう」と、否が応でもハラハラしてしまいます。

そして、空に広がる煙。

それがかみなりに届いた時には、どっと安心感が押し寄せます。

そんな煙を吸ってしまった大量のかみなりたち。

くしゃみと涙が止まりません。

でも、くしゃみをしているかみなりたちをよく見てみると、色々な発見があります。

じょうろやひしゃく、バケツを持っていたり、石を打ち合わせて雷を起こしていたりします。

太鼓を持っているもの、入れ歯が飛び出しているものまでいます。

それを見ていると、どうやって雨を降らしていたかや、雷を鳴らしていたのか、どんなことをしていたのかが想像出来て面白い。

子どもたちも、

「バケツで水かけてたんじゃない?」

「石で雷出してる!」

と、見つけたことを口々に言っていました。

さて、雲が千切れて、落ちてきたかみなりたち。

ここでのばばばあちゃんとのやり取りが、また面白いのです。

文句を言うかみなりたちに、厳しいけど、優しいという、ばばばあちゃん節が全開。

なんとも力強く、爽やかに物語が終わります。

ばばばあちゃんとかみなりの戦いに、ハラハラドキドキが止まらない。

パワフル過ぎる作戦で、雨の憂鬱さを吹き飛ばしてくれる絵本です。

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