にょきにょきのき(5歳~)

絵本

作:斉藤洋 絵:高畠純 出版:講談社

にょきにょきと、どんどん育つにょきにょきの木。

その木からは、色んなものが生えてきます。

花や木、動物・・・そして、人間まで!?

あらすじ

珍しいことに、にょきにょきの木の芽がありました。

にょきにょきの木は、にょきにょき伸びるので、にょきにょきの木と呼ばれています。

どんどん大きくなって、つぼみがつきました。

花が咲くかと思ったら、やっぱり花が咲きました。

にょきにょき伸びて、花が散って実になります。

果物の木かと思ったら、にょきにょきの木の枝から、別の木が生えてきました。

さらに鳥や動物などの生き物が生まれ、人間まで。

にょきにょきの木から生まれた、男の人と女の人がごあいさつ。

にょきにょきの木の上では落ち着かないので、二人で木を降りることにしました。

その間にも、にょきにょきの木はどんどん伸びて、にょきにょきにょき・・・。

壺や電球まで出来ていき、さらには車や飛行機が。

みょきにょきの木は、どこまで伸びていくのでしょう。

『にょきにょきのき』の素敵なところ

  • なんでも生み出すにょきにょきの木
  • これでもかと出てくる「にょきにょき」
  • 切り貼りして作られた親近感

この絵本の面白いところは、なんと言っても不思議なにょきにょきの木。

最初は普通の木かと思っていたら、途中から様子がおかしくなってきます。

花や実、木が生えるなど、少しおかしなところはあれど、植物だったにょきにょきの木。

しかし、生き物を生み出し、人間を生み出し始めます。

まあ、そこまでは「生きている」というくくりで、ギリギリセーフかもしれません。

ですが、ついに壺や飛行機などの無機物まで生み出し始めるからもう大変。

動物や人間までは驚きつつも、なんとか受け入れていた子どもたち。

でも、無機物が出てくると、

「壺とか時計もあるんだけど!?」

「消防車出来てる!」

「飛行機まであるよ!?」

と、言いたいことが爆発。

驚きっぱなしでした。

そんな、どんどん大きくなっていくにょきにょきの木。

その大きくなる過程で、これでもかと「にょきにょき」という言葉が出てきます。

これが読んでいても、聞いていても面白い。

まずは大きくなるたび、

「にょきにょきにょき・・・」

と伸びていきます。

これだけでも「にょきにょき」とだいぶ言いますが、それだけではありません。

「にょきにょきにょき・・・。にょきにょきの木は、にょきにょき伸びるので、にょきにょきの木と呼ばれています。」

のように、ほとんど「にょきにょき」しか言っていないような文章が、所々に出てくるのです。

ページが進むにつれ、頭の中がにょきにょきで一杯に・・・。

そして気付くと、読んでいる方も、聞いている方も「にょきにょき」が楽しくてしょうがなくなってくる、妙なテンションになるのです。

さて、こんな不思議なにょきにょきの木ですが、その絵はとても親近感のあるものになっています。

それはチラシや絵を、切り貼りして作っているからです。

絵の具を塗った紙を、切って枝にしていたり、ハンバーガーのチラシを切り抜いていたり、新聞紙の切れ端が使われていたり。

動物は子どもが模様や顔を描いたようなものもあり、

「自分でも作れそう」

と思える親近感があるのです。

絵本を元に、自分のにょきにょきの木を作る遊びにも繋がる距離感も、この絵本の素敵なところだと思います。

予想もつかない成長と展開が、たまらなく面白い。

読めば「にょきにょきにょき」が、頭から離れなくなるナンセンス絵本です。

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