文:バーバラ・ダ・コスタ 絵:エド・ヤング 訳:長谷川義史 出版:光村教育図書
闇に紛れ、暗躍する忍者。
誰にも見つからぬよう、目的の物を入手する。
しかし、この忍者の正体には、あるかわいらしい秘密が・・・。
あらすじ
真夜中になり、どこからか城壁へ鍵縄が飛んできた。
その縄を伝い、忍者が城へと忍びこむ。
上へ上へとよじ登り、いざ城内へ。
どうやら、この屋のものは、みな寝ている様子。
そうっと進み、暗闇にひざまずき、耳を凝らす。
よーく見ながら、目的の扉に手をかける・・・。
と、扉を開けた瞬間、大きな人の影とともに、誰かの声が!
忍者の運命やいかに・・・。
『よふかしにんじゃ』の素敵なところ
- かっこいい忍者の姿と緊張感
- 実写が混ぜ込まれた迫力の絵
- 忍者のかわいい正体
この絵本のなにより盛り上がるところは、忍者のかっこよさでしょう。
縄をつたい、壁を登り、月明かりの中廊下を歩く。
そのシルエットに、テンションが上がらないわけがありません。
さらに、誰にも見つからないよう、忍んで進む緊張感は、忍者にさらなるかっこよさを与えてくれます。
そこにダメ押しのような、「ござる」口調。
見ていたら、テンションは上がるのに、自然と息を潜める忍者モードへ。
すっかり自分も、忍者と一緒に忍び込んでいる気分です。
このかっこよさを、さらに盛り上げてくれるのが、実写の混ぜ込まれた絵。
全体が切り絵で出来ているので、それだけで立体感が増し、忍者のシルエットがよりくっきり浮かんでかっこいいのですが、それに加えての実写部分。
背景の笹や、城内の襖など、舞台装置が実写なので、より本物の緊張感が味わえます。
そしてなによりかっこいいのが、忍者道具。
鍵縄が実写になっていて、飛んできた時の迫力は相当なもの。
さらに、縄を巻いて腰につけている時の存在感。
かっこよさととともに、現実味も増してくれているのです。
さて、こんなにもかっこいい忍者ですが、その正体は意外な人物でした。
そのかわいい正体と、かわいい目的に一気に脱力。
これまでの緊張感とのギャップがすごい。
それもこの絵本の面白いところです。
忍者のかっこよさと、世を忍ぶ緊張感に酔いしれる。
意外な結末に脱力しつつも、忍者ごっこがしたくなるドキドキワクワクの絵本です。
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