なつのもりのかぶとむし(4歳~)

絵本

文:谷本雄治 絵:サトウマサノリ 出版:文溪堂

立派な角がかっこいいカブトムシ。

そんなカブトムシの力強い戦い方。

さらにはその生活や、秘密までわかってしまう絵本です。

あらすじ

夏の森の夕暮れ時。

カブトムシが起きてきて、空へと飛び出しました。

カブトムシは暑い昼間が苦手なので、暗くなるまで落ち葉の布団で眠っているのです。

やってきたのは古くて大きなクヌギの木。

幹にたまった甘い汁がしみ出しています。

カブトムシはブラシのような口で、樹液を舐めます。

そこへ、クワガタムシがやってきて、カブトムシを押しのけようとしました。

カブトムシとクワガタムシの戦いが始まります。

クワガタムシがカブトムシの角を顎で挟みました。

しかし、カブトムシは踏ん張って、クワガタムシを空に向かって跳ね上げました。

これでゆっくり食事が出来ます。

と、隣のクヌギに引っ越そうとしたその時。

フクロウが舞い降り、一匹のカブトムシが鋭い爪に掴まってしまいました。

日の出の時間になり、クヌギのレストランは店じまいです。

カブトムシも木から飛び立ちます。

メスのカブトムシは、卵を産む場所を探しに出かけるみたい。

無事にいい場所が見つけられるでしょうか。

『なつのもりのかぶとむし』の素敵なところ

  • カブトムシがリアルでかっこよすぎる
  • カブトムシの秘密がわかりやすく描かれる物語
  • より詳しいことがわかる追記

この絵本の何よりも素敵なところは、カブトムシのかっこよさです。

黒光りする体。

立派な角。

力強い足の爪。

開いた羽。

その全てがかっこいいのです。

これは写真では表現できないものだと思います。

リアルに描かれたイラストだからこそ、そのかっこよさが120%まで増幅されているのだと。

子どもたちも、

「うわ!かっこいい!」

「強そう!」

「ケンカ始めたぞ!」

と大興奮。

見ているだけで、テンションが上がるのです。

もちろんかっこいいだけでは、終わりません。

カブトムシの秘密を、たくさん知ることが出来ます。

これが物語として描かれることで、楽しくカブトムシのことを学べるのも、この絵本の素敵なところです。

「ブラシみたいな口だから、舐めやすいんだよね」

「こうすると、匂いがよくわかるのよ」

など、セリフとして知識が出てくるので、理解しやすかったりもします。

一対のカブトムシの夫婦を追っていくことで、ハラハラドキドキの一日を体験しつつ、その秘密を知ることが出来るのです。

さらに面白いのが、より詳しい追記です。

物語に組み込むと、わかりにくくなってしまいそうな、より深い知識を追記と言う形でページの中に入れてくれています。

これにより、

樹液がどうしてしみ出しているのか?

カブトムシの角は体の一部で、短い方は胸、長い方は頭である。

など、より詳しく知りたい子の、知識欲を満たしてくれるのです。

また、追記になっていることで、物語の妨げにならず、詳しい子もそうでない子も、一緒に楽しめるようになっているのが素敵なところです。

力強くて、かっこよすぎるカブトムシの姿に見惚れながら、より詳しく、カブトムシの生態や秘密を知ることが出来る絵本です。

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