ぼく、おたまじゃくし?(4歳~)

絵本

作:田島征三 出版:佼成出版社

池に住む、たくさんのオタマジャクシたち。

みんな手足が生える中、一匹だけ生えてこない子が。

兄妹たちがカエルになっても、やっぱり生えてこないのです。

あらすじ

野原に小さな池があります。

そこにたくさんの、オタマジャクシが住んでいました。

みんな手が生え、足が生え、カエルへと近づいていきます。

そんな中、一匹だけ手足が生えない子がいます。

やがて、仲間がみんなカエルになって、次々池から出て行ってしまっても、その子は手も足も生えません。

それどころか、髭が生えてきたのです。

池に住む生き物たちは、その髭をからかいました。

ミズカマキリが、髭を引っ張り遊びだすと、他の生き物たちも引っ張り始めます。

「やめて」と、みんなに頼みましたが、誰もやめてくれません。

夢中で髭を手繰り寄せると、髭を引っ張っていた生き物たちが口の中へ入っていきました。

「美味しい!」

なんと、髭を引っ張っていた生き物たちを、全部食べてしまったのです。

そこへ、ザリガニがやってきて、「自分の食べ物を食べられた」と文句を言い、襲い掛かってきました。

一体どうなってしまうのでしょう・・・。

そして、この子は本当にオタマジャクシなのでしょうか?

『ぼく、おたまじゃくし?』の素敵なところ

  • 孤独からのまさかの逆転劇
  • 意外過ぎる正体
  • 種を越えた絆

この絵本では、序盤にオタマジャクシの孤独が描かれます。

オタマジャクシだと信じて疑わなかったのに、兄妹たちに置いていかれる孤独。

池の生き物たちに、いじめられる孤独。

子どもたちも、

「ひどい!」

「かわいそう!」

「やめてって言ってるじゃん!」

と、オタマジャクシに同情します。

が、そこからまさかの展開が!

口に入った生き物を食べて、

「美味しい!」

全部食べてしまいます。

これには、同情していた子も、

「えー!?食べちゃった!」

「すげー!!」

と、びっくり仰天。

まさかの逆転劇が始まります。

そこから明かされる、意外な正体にみんな納得。

「だから、髭が生えていたのか!」

と、一本の線に繋がったみたいでした。

でも、困ったことが起こります。

オタマジャクシではないこの子には、池が小さすぎたのです。

そこで助けてくれたのは、意外な生き物たちでした。

力を合わせ手助けしてくれるその姿や言葉に、確かな絆を感じ、心が温かくなります。

これまでの孤独が癒されるような、この場面はとても素敵なところだと思います。

「かわいそう・・・」と思っていたら、まさかの展開の数々に驚きが止まらない。

自分らしく生きるその姿に、明るさや元気を貰える絵本です。

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