作:田島征三 出版:佼成出版社
池に住む、たくさんのオタマジャクシたち。
みんな手足が生える中、一匹だけ生えてこない子が。
兄妹たちがカエルになっても、やっぱり生えてこないのです。
あらすじ
野原に小さな池があります。
そこにたくさんの、オタマジャクシが住んでいました。
みんな手が生え、足が生え、カエルへと近づいていきます。
そんな中、一匹だけ手足が生えない子がいます。
やがて、仲間がみんなカエルになって、次々池から出て行ってしまっても、その子は手も足も生えません。
それどころか、髭が生えてきたのです。
池に住む生き物たちは、その髭をからかいました。
ミズカマキリが、髭を引っ張り遊びだすと、他の生き物たちも引っ張り始めます。
「やめて」と、みんなに頼みましたが、誰もやめてくれません。
夢中で髭を手繰り寄せると、髭を引っ張っていた生き物たちが口の中へ入っていきました。
「美味しい!」
なんと、髭を引っ張っていた生き物たちを、全部食べてしまったのです。
そこへ、ザリガニがやってきて、「自分の食べ物を食べられた」と文句を言い、襲い掛かってきました。
一体どうなってしまうのでしょう・・・。
そして、この子は本当にオタマジャクシなのでしょうか?
『ぼく、おたまじゃくし?』の素敵なところ
- 孤独からのまさかの逆転劇
- 意外過ぎる正体
- 種を越えた絆
この絵本では、序盤にオタマジャクシの孤独が描かれます。
オタマジャクシだと信じて疑わなかったのに、兄妹たちに置いていかれる孤独。
池の生き物たちに、いじめられる孤独。
子どもたちも、
「ひどい!」
「かわいそう!」
「やめてって言ってるじゃん!」
と、オタマジャクシに同情します。
が、そこからまさかの展開が!
口に入った生き物を食べて、
「美味しい!」
全部食べてしまいます。
これには、同情していた子も、
「えー!?食べちゃった!」
「すげー!!」
と、びっくり仰天。
まさかの逆転劇が始まります。
そこから明かされる、意外な正体にみんな納得。
「だから、髭が生えていたのか!」
と、一本の線に繋がったみたいでした。
でも、困ったことが起こります。
オタマジャクシではないこの子には、池が小さすぎたのです。
そこで助けてくれたのは、意外な生き物たちでした。
力を合わせ手助けしてくれるその姿や言葉に、確かな絆を感じ、心が温かくなります。
これまでの孤独が癒されるような、この場面はとても素敵なところだと思います。
「かわいそう・・・」と思っていたら、まさかの展開の数々に驚きが止まらない。
自分らしく生きるその姿に、明るさや元気を貰える絵本です。
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