作:みやこしあきこ 出版:福音館書店
真っ暗な夜の部屋。
いつもなら怖いけれど、懐中電灯を持っていれば大丈夫。
さあ、家の中の暗闇探検へ出かけましょう。
あらすじ
夜、みんな寝静まったころ。
男の子が布団の中で、懐中電灯のスイッチを入れました。
お兄ちゃんも誘って、家の中を探検しようというのです。
部屋や机を、懐中電灯で照らすと、いつもの部屋じゃないみたい。
壁を照らすと、丸い光が出来ます。
壁に近づいていくと、丸がどんどん小さくなる。
壁に懐中電灯をくっつけると、光を閉じ込めることに成功。
そして、そのまま傾けると、光がびよーんと伸びていく。
今度は動物の人形。
懐中電灯を左右に揺らして照らしてみると、影が踊っているみたい。
次はどんな不思議が待っているのでしょう。
探検はまだまだ続きます・・・。
『かいちゅうでんとう』の素敵なところ
- 本当に探検しているような光と影
- 楽しすぎる懐中電灯遊び
- すぐに試してみたくなる
この絵本の面白いところは、本当に真っ暗な部屋を歩いているようなリアルさです。
光と闇の描き方が驚くほどリアルなのです。
暗闇は、ちょうど真っ暗な中で、目が少し慣れてきたくらいの暗さ。
うっすらと、部屋の中のものが見える感じです。
これがまさに、真っ暗な部屋にいる感覚を思い出させてくれるのです。
そこを照らす、懐中電灯の光と、照らし出される影がまたリアル。
本当に自分が懐中電灯を持っているみたいで、気付けば男の子と一体化しています。
このリアルさが、探検への没入感を生み出し、よりドキドキワクワクさせてくれるのです。
しかし、ただ照らして、歩くだけでは終わらないのが、この絵本のとても楽しいところです。
探検の中で、光の特性を活かした、色々な遊びが展開されていきます。
光の収束。
影絵のような遊び。
壁に映る自分の巨大な影。
など、日々の中で体験したことがあるものから、やったことがないものまで様々。
そのどれもが簡単で、面白くて、不思議です。
そして、暗闇と懐中電灯があればすぐに試せてしまいます。
そうなったら、試さずにはいられないでしょう。
このすぐに絵本の内容を、試すことが出来るのも素敵なところです。
まずは、絵本にあったことを試すでしょう。
さらにやっているうちに、新しいことにも気付くでしょう。
そうなってくると、色々試したくなってくるもの。
見て、触って、試して・・・。
自然と光や影について、興味を持ち、理解を深めていけるのです。
そんな、面白さや不思議を、すぐに試すことへ繋げてくれるのも、この絵本のとても素敵なところなのです。
兄弟と、懐中電灯を使った、ドキドキワクワクの暗闇探検を一緒に出来る。
読み終わった後に、今度は自分が懐中電灯のスイッチを入れたくなる科学絵本です。
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