作:五味太郎 出版:絵本館
理由と結果の接続詞「ので」。
その「ので」で、文章が全部繋がっているこの絵本。
「ので」の連続に、息つく暇もありません。
あらすじ
男の子が草むらから跳びあがった。
跳びあがったので、
女の子が旗をさっと上げた。
サッと上げたので、
男の子が花火に火をつけた。
つけたので、
花火からパラシュートが飛び出し、シュルシュルパッとなった。
なったので、
女の子が女の子が糸電話で「なったよ」と話した。
話したので・・・。
のでのでので・・・、一体の「ので」の結末は?
『のでのでので』の素敵なところ
- 接続詞の面白さを目いっぱい感じる
- 次々繋がっていく子どもたちの動き
- 「ので」の最後にはまさかの仕掛けが・・・
この絵本では、普段意識していない、接続詞を目いっぱい感じることが出来ます。
さらにその中でも、「ので」という、一つの接続詞をひたすら使います。
これにより、その働きや、それを使った文章の面白さが、思い切り味わえるのです。
「ので」を使うと、文章が終わりません。
読んでいると「ので」でひたすら続く文章が、段々面白くなってきます。
子どもたちも中盤辺りから、
「ので~」
と、声をそろえて読みはじるから面白い。
物語だけではなく、ずっと「ので」で続く文章の面白さを、感じているからだと思います。
文章が繋がるということは、物語も途切れることなく続いていきます。
行動を起こし、その結果を見て別の子が次の行動を起こし、またその結果を見て別の子が行動を起こし・・・。
その様は、さながらピタゴラスイッチのよう。
次の「ので」の先が気になって仕方ありません。
「ので」と読んだ後の、子どもたちの目力のすごさと言ったら・・・。
そして、ページをめくると、
「えー!花火!?」
「糸電話だ!」
と、その結果に驚きつつ、
「これどうなっちゃうの!?」
「わかった!作戦だよ!」
と、「ので」の結末をワクワクしながら考えるのです。
さて、その結末は、まさかのもの。
見ると、
「あれ?」
「もしかして・・・」
「てことはどういうこと?」
なんだか、頭がこんがらがってきます。
気付けば、もう一度絵本を見直しているという、不思議な現象が巻き起こるのです。
この不思議なパラドックスを感じられるのも、この絵本の素敵なところ。
「こうじゃない?」
「きっとこういうことだよ」
と、答えのないおしゃべりが、とても楽しいです。
「ので」を使って、文章と行動がどんどん繋がっていくおもしろさを、思い切り味わえる。
接続詞や文章の構造へ、自然と目を向け、興味を含まらませてくれる言葉遊び絵本です。
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