作:ジョン・バーニンガム 訳:長田弘 出版:ほるぷ出版
クリスマスは大忙しのサンタさん。
一晩でたくさんのプレゼントを配り終えたころにはヘトヘトです。
帰ってきて、あとはベッドに入るだけ。
そんな時に配り忘れたプレゼントを見つけてしまったら・・・。
あらすじ
世界中の子どもにプレゼントを届けて帰ってきたサンタさん。
トナカイもサンタさんもくたびれていました。
食事を取り、トナカイをベッドに連れて行きました。
一頭のトナカイは体調を崩してしまいました。
トナカイたちをゆっくりと休ませることにして、サンタさんもパジャマに着替えベッドに入ろうとしたときです。
袋の中に贈り物がまだ一つ残っていることに気が付きました。
それは遠く離れた山のてっぺんに住む男の子への贈り物でした。
サンタさんは、パジャマの上に赤いコートを着て、長靴をはき、袋をかつぐと歩き始めました。
トナカイを連れていくことは出来ません。
歩いて少し行くと飛行機乗りに出会いました。
事情を説明すると乗せてくれることになりました。
しかし、雪が激しくなりこれ以上飛べなくなりました。
飛行機乗りは丘の向こうのジープ乗りのことを教えてくれました。
丘の向こうへ着くと、ジープ乗りに事情を話しました。
すると、ジープに乗せてくれることになりました。
しかし、突然滑って道を飛び出し、木にぶつかって止まってしまいました。
ジープ乗りは川を渡るとバイク乗りがいることを教えてくれました。
中々進まないサンタさん。
クリスマスの間に、無事に贈り物を届けられるのでしょうか。
『クリスマスの贈り物』の素敵なところ
- 親近感の湧く温かく庶民派なサンタさん
- わかりやすくもハラハラする繰り返し
- 帰り道も大変
颯爽とプレゼントを配るサンタさんの姿は数多いけれど、
仕事終わりのくたびれたサンタさんを描く物語は珍しいと思います。
プレゼントを忘れたことに気付くと、もう寝てしまいたいところを男の子の境遇を考えて自分を奮い立たせるサンタさん。
でも、具合の悪いトナカイを労い、歩いていくことにするサンタさん。
赤いコートにズボンはパジャマというサンタさん。
こんなにも親近感の湧くサンタさんは見たことがありません。
そんなサンタさんの道のりは困難だらけ。
助けを得てはトラブルに遭うの繰り返し。
毎回同じ文章で描かれるので、物語はわかりやすく作られているのですが、
「今度はたどり着けるかな?」「間に合うかな?」「次はどうなるんだろう」というハラハラ感があるため、常に先が気になります。
トラブルが起こった時にサンタさんのおじいさんらしさがこれを引き立てます。
思わず「大丈夫!?」と言ってしまうような様子なのです。
さて、苦労の果てに辿り着くサンタさん。
来るのが大変だった分、帰るのももちろん大変です。
そこまでしっかり描かれていることで、サンタさんが家に帰りついた時、ベッドに入った時に心から「お疲れ様」と思います。
プレゼントを届ける大変さや、サンタさんの心情をとても丁寧に描いた心温まる絵本です。
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