ゆかしたのワニ(4歳~)

絵本

文:ねじめ正一 絵:コマツシンヤ 出版:福音館書店

家の床下には巨大なワニが住んでいる。

寝る前に、ワニの歯磨きをするのが男の子の仕事。

でも、食べられないように工夫をしないと。

あらすじ

男の子の家の床下には大きなワニがいる。

男の子は夜になると、長靴をはき、頭に懐中電灯をつけて、バケツと七つ道具の入った袋を持ち、床下に出かける。

ワニの歯磨きをするためだ。

ワニは歯磨きだとわかると、大きく口を開ける。

男の子は袋から棒っきれを出し、ワニの口につっかえ棒をする。

懐中電灯で、歯に挟まった食べかすを探し、長い楊枝でほじくり出す。

長い歯ブラシも出し、上の歯も、下の歯もゴシゴシ磨き、歯の表の汚れを取る。

次に、ワニの口の中に寝転び、歯の裏側も磨き汚れを取る。

起き上がり、右の一番奥の歯を見てみると、黒いものが見えた。

虫歯だと大変なので、虫眼鏡でよく見ると、ウロコが見える。

ワニが朝ごはんに食べた魚の皮だった。

魚の皮を取っていると、ワニの吐く息が段々荒くなって来て、ワニのベロが男の子を巻き込もうと動き始めた。

布団バサミで舌を巻き、巻き込まれないようにしてから歯を磨いていると、ワニの息がさらに荒くなってきた。

つっかえ棒にもヒビが!

男の子は無事歯磨きを終えられるのでしょうか・・・。

『ゆかしたのワニ』の素敵なところ

  • 当たり前のように床下にいるワニ
  • ドキドキワクワクの歯磨き
  • 心をくすぐる七つ道具
当たり前のように床下にいるワニ

この絵本では、普通の民家の床下に、当たり前のようにワニが住んでいます。

なぜ、そこにいるかわかりません。

男の子との関係性もわかりません。

ペットなのか、野生なのかもわかりません。

全てが謎に包まれていますが、それが面白いのです。

子どもたちも、

「なんでワニがいるの!?」

「ペットなんじゃない?」

「迷い込んで出られなくなったんだよ」

と、色々な憶測が飛び交います。

でも、なにはともあれ、毎日の歯磨きの時間が始まるのです。

ドキドキワクワクの歯磨き

しかし、巨大ワニの歯磨きは、簡単ではありません。

油断すれば食べられてしまいます。

このワニとしての迫力や野生感をしっかり感じさせてくれるのも、この絵本の素敵なところ。

安全のためのつっかえ棒など、危機管理を忘れません。

そのうえで、鋭い歯の生える口の中に入って歯を磨いていきます。

これがドキドキワクワクするのです。

「口が閉まったら、食べられちゃう!」

と、油断が出来ない歯磨きにみんな釘付け。

さらには、ワニが歯磨きモードから、食事モードへ戻っていく展開。

ヒビの入るつっかえ棒を見たら、ドキドキは最高潮です。

心をくすぐる七つ道具

さて、危険なワニの歯磨きに、欠かせないのが七つ道具。

つっかえ棒や、布団バサミなどの危機回避アイテム。

歯ブラシや楊枝など、歯磨きに必須のアイテム。

など、ワニの歯磨きに特化した内容になっています。

男の子が袋から取り出すたびに、

「そのために持って来たのか!」

と、驚き納得。

次は何が出てくるのか気になってしまいます。

子どもたちも目を輝かせて、

「何が入ってるんだろう!」

「ドラえもんの秘密道具みたい!」

と、七つ道具にロマンを感じている様でした。

二言まとめ

床下にワニがいるという、奇想天外な世界観から始まる歯磨き。

ワニという、危険生物への歯磨きで見せるプロの技に、目が離せない絵本です。

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