作:刀根里衣 出版:NHK出版
大切な人がお星さまになった時。
そのお星さまに会いに行くことに決めました。
大切な人との思い出の場所を巡りながら。
あらすじ
ネズミの女の子ピナを置いて、その人はいなくなってしまいました。
ピナの仲間たちは、「大切な人は、お星さまになって、きみのことを見守っているんだよ」と言います。
それを聞いたピナは、「そのお星さまに会いに行ってくる」と、歩いていきました。
やってきたのは、二人が一緒に泳いだ海。
魚にお星さまのことを聞きますが、もっと上の方を探してごらんと言われます。
次に来たのは、二人が一緒に遊んだ水辺。
カエルのお星さまのことを聞くと、もっと上の方を探してごらんと言われました。
その後も、かくれんぼをした花畑、一緒に歩いた池のほとりと探してみますが見つかりません。
そんな中、「この森で一番高い木に登ってごらん」と言われ、ピナは一番高い木に登ってみました。
一番高い木のてっぺんで、ピナはお星さまに聞きました。
「私のお星さまはどこにいるの?」と。
一番星が答えます。
「あなたが探している人はもうどこにもいないの」
それを聞いて、ピナは大切な人にもう会えないことを知りました。
悲しむピナに二番星が優しく続けます・・・。
ピナは、大切な人ともう会えないことを、受け止めることが出来るのでしょうか。
『おもいで星がかがやくとき』の素敵なところ
- 小さな子が、大切な人の死を受け止める物語
- いなくなっても、なくならないもの
- 支えてくれる人の大切さ
小さな子が、大切な人の死を受け止める物語
この絵本では、小さなピナが詩を受け止める過程が描かれます。
仲間たちが、ピナを傷つけないように使った、
「お星さまになった」
という言葉を、素直に受け止め会いに行こうとするピナ。
思い出の場所を巡り、ついに星に辿り着きますが、そこでもう会えないことを知ります。
死んでしまったことに直面するピナ。
そこで、ごまかしたりせず、悲しみと正面から向き合っていくのがこの絵本の素敵なところ。
お星さまたちはピナに、悲しみの受け止め方、受け入れ方を優しく教えてくれます。
大切な人の死から目をそらさず、大切な一歩を踏み出す姿が、物語に悲しくも力強い魅力を与えているのだと思います。
その物語の中で、お星さまがとても大切なことを教えてくれます。
いなくなっても、なくならないもの
それは、その人はいなくなってしまっても、なくならないものがあることです。
いなくなってしまっても、その人が人生の中でやってきたことはなくなりません。
ピナを含め、色々な人の思い出として残っています。
いなくなってしまったから、全て終わりなくなる訳ではなく、生きた証を残しているし、残された人はたくさんのものを受け継いでいる。
でも、悲しみに飲み込まれると、忘れてしまいやすいことでもあります。
それを改めて思い出させてくれるのです。
また、そうは言っても一人で乗り越えるのは、とても難しいことです。
心が折れてしまうこともあるでしょう。
小さな子どもであれば、なおさらです。
そんな時に頼れるものも、この絵本は教えてくれます。
支えてくれる人の大切さ
それは周囲の仲間たち。
一人では心が折れそうな時も、支えてくれる人がいれば立ち上がれるのです。
この絵本には、ピナの姿を通して、
「悲しい時には一人で頑張り過ぎなくていいよ」
と、肩を支えてくれるような優しさを感じるのです。
二言まとめ
小さなピナが大切な人の死を認めていく姿を通して、思いきり悲しんでいいことを教えてくれる。
それと同時に、悲しい時に忘れてしまいがちな大切なことも、思い出させてくれる絵本です。
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