作:京極夏彦 絵:町田尚子 編:東雅夫 出版:岩崎書店
帰省先の田舎の木造家屋。
都会では感じたことのない得体のしれない怖さを感じたことがある人も多いと思います。
なにかいる?なにかいそう。でも、怖くて見れない。
そんなお話です。
あらすじ
男の子はおばあさんの家で暮らすことになった。
とても古い木造家屋。
天井には梁があり、その上はとても高く、暗い。
上の方が気になって何度も見上げた。
ある日、また屋根の上の暗がりを見ていた。
そうしたら、窓の横くらいに怒った男の顔があった。
怖くなって逃げて、おばあさんに聞いてみた。
「見たのかい。じゃあいるんだね」
「上を見なければ怖くないよ」
「見なければいないのおんなじさ」
とおばあちゃんは言うけれど、見ちゃう。
いるのでしょうか。いないのでしょうか。
『いるのいないの』の素敵なところ
- お話がとても怖い
- 絵もとても怖い
- 演出もとても怖い
電灯の届かない暗がりという身近な場所をテーマにしていることで、生活の各所でこの絵本が脳裏をよぎります。
そして、いるのかいないのかわからない漠然とした不安から、物語の終わりに向けて「いる」という確信が強くなっていく流れがとても怖い。
緊張が高まりきったところでの最後のページのインパクトはまさにホラーです。
読んだ時には悲鳴が上がり、目をそらす子の数々。
その大きな力になっているのがこの絵です。
写実的で本当におばあちゃんの家に来たようです。
男の子もおばあちゃんも、そして怒った男の顔もとてもリアルなのです。
この絵をさらに効果的にするのがページめくりの演出。
ページをめくるたび怖さがじわじわと膨らんでいきます。
そして最後のページへ・・・。
絵本だからこそ出来る怖さがすべて詰まった一冊です。
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