文:マック・バーネット 絵:ブライアン・ビッグズ 訳:椎名かおる 出版:あすなろ書房
ここはうるさいアパート。
夜になっても、ダンスに歌にと、各階で大騒ぎ。
こんなにうるさくて、ゆっくりと眠れるのでしょうか?
あらすじ
あるアパートの一室で寝ていた男の子。
上の階から聞こえる「ららら~」という音で、目を覚ました。
その正体は、オペラ歌手が歌を練習する音だった。
そのオペラ歌手も、上の階からの「ぱっぷぷぷぷ」という音に気が付いた。
それは上の階の赤ちゃんが、おねむの中で、おしゃべりを練習している音だった。
赤ちゃんも、上の階からの「め~め~め~」という音に気が付いた。
それは羊が独り言を言っている音だった。
羊も上の階から聞こえる音に・・・。
こんなにうるさくてゆっくり眠れるのでしょうか?
『うるさいアパート』の素敵なところ
- 上の階から聞こえる気になる音
- 夜のアパートとは思えない騒ぎっぷり
- 「そりゃそうなるよ」というスカッとする結末
上の階から聞こえる気になる音
この絵本の面白いところは、クイズ形式で繰り返される、上の階から聞こえる音でしょう。
「上から聞こえる”ららら~”なんのおと?」
というように、クイズ形式で、上の階でなにをしているのか聞かれます。
そこでページをめくり、上の階に移動すると、さらに上の階からも音が・・・。
この繰り返しで、どんどんアパートを登っていくのが面白い。
子どもたちも、
「え~、何の音だろう?」
「ひつじさん!」
「ダンスの音!」
と、我先にと答えます。
夜のアパートとは思えない騒ぎっぷり
そんな音の正体は、どれも夜のアパートでやるなんて、到底思えないものばかりです。
オペラの練習。
トランペットを吹く。
果てはチアリーダーの練習なんてものまで。
この奇想天外さと、突き出たうるささも、この絵本の素敵なところ。
「えー寝られないじゃん!」
「ちょっとうるさすぎるでしょ!」
「これやたったら、お母さんから怒られるよ!」
と、子どもたちからも、大笑いしつつ非難の声が上がるほど。
「そりゃそうなるよ」というスカッとする結末
そんなうるさいアパートの最後は、「そりゃそうなるよ」という納得の結末。
まさに鶴の一声で、みんな解決してしまいます。
これがなんともスカッとしていて気持ちいい。
これまでの突き抜けたうるささと楽しさがあったからこそ、この結末がとても気持ちいいのだと思います。
二言まとめ
もの凄く非常識で、めちゃめちゃうるさくて、とても楽しそうなこのアパート。
でも、最後は極めて常識的な幕引きとなるそのギャップが、面白く気持ちのいい絵本です。
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