ビークル~ゆめのこどものおはなし~(5歳~)

絵本

作:ダン・サンタット 訳:谷川俊太郎 出版:ほるぷ出版

ここは夢の子どもが住む島です。

そこでは、本当の子どもが、自分のことを、見つけてくれるのを待っています。

でも、その中にずーっと見つけてもらえない子が・・・。

あらすじ

ある日、遥か彼方の夢の島で、一人の夢の子どもが生まれた。

夢の島には、夢の子どもがたくさん住んでいて、本当の子どもに見つけてもらい、名前をつけてもらうのを待っている。

見つけてもらうと、夢の子どもは、本当の子どもの所へ飛んでいく。

でも、あの日生まれた夢の子どもは、いくら待っても順番が来ない。

きっと、本当の世界が楽しすぎるから、誰も見つけてくれないのだと思った。

だから、待つのをやめて、船に乗り、本当の世界へ出発することにした。

長い旅を経て、色々な面白いものに出会いながら、本当の世界に辿り着いた。

だけど、そこは想像と違っていた。

大人がケーキを食べているし、音楽に誰も立ち止まらないし、眠たそうな大人ばかり。

そんな中、他の夢の子どもを見つけたので、ついていくことにした。

そこには子どもたちや、子どもたちと遊ぶ夢の子どもたちがいた。

とってもいい感じだけど、友だちは見つからない。

木登りをしても、誰も来ない。

寂しい気持ちになった時、木の下から「こんちわ!」と呼ぶ声が聞こえた。

そこには一人の女の子がいた。

優しくて懐かしい顔の、文句なしって感じの子。

二人の出会いは、どんな物語を作っていくのでしょうか?

『ビークル~ゆめのこどものおはなし~』の素敵なところ

  • 色々な姿をした、自分だけの夢の子ども
  • 自分から探しに行ったからこその出会い
  • 出会ったことで訪れるたくさんの変化

色々な姿をした、自分だけの夢の子ども

この絵本の始まりは、夢の島。

そこには、夢の子どもがたくさん住んでいます。

トカゲの様だったり、タコの様だったり、雲の様だったり・・・。

色々な姿かたちの夢の子どもたち。

その夢の子どもたちが、本当の子どもの夢として、本当の世界で出会うという世界観。

これがとても素敵です。

見ているだけで、

「自分はどんな子と出会うんだろう?」

「自分の夢ってなんだろう?」

と、ワクワクしてきます。

本当の世界で、本当の子どもと夢の子どもが一緒に遊んでいる姿は夢が一杯で、元気で、本当に楽しそう。

自分も早く夢の子どもと出会いたくなります。

自分から探しに行ったからこその出会い

でも、そんな中、主人公の夢の子どもは、見つけてもらうことが出来ません。

ただ、そこでウジウジせずに、自分から探しに行こうと行動に移すのが、この主人公の素敵なところ。

決めた後の、決意に満ちた目つきは、とても力強いです。

そして、その行動が本当の子どもとの出会いを作ります。

相手もこれまで、友だちがいなかった女の子。

最初のお互いソワソワしたやり取りが、とても微笑ましく、可愛いです。

そんな引っ込み思案な相手だったからこそ、なおさら主人公の行動がなかったら出会えなかったのだろうなと感じるのです。

出会ったことで訪れるたくさんの変化

さて、二人が出会ったことで、色々な変化が起こります。

これまでより積極的になったり、友だちが出来たり、新たな世界へ踏み出したり・・・。

でも、それらが急激に起きたわけではないのが、この絵本の素敵なところ。

主人公と女の子が、一緒に過ごし、仲良くなる中での少しずつの変化が、女の子やその周りに影響を与えている様子が、とても自然に、言葉少なに描かれていくのです。

夢との出会いが、こんなにも人を前向きにしてくれるのだなと、二人の姿を通して感じさせてくれます。

二言まとめ

夢の子どもと本当の子どもの出会いを通して、夢を持つことの大きな力を感じさせてくれる。

自分の夢や、その夢の形に思いを馳せるきっかけになる絵本です。

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