文:アニー・シルヴェストロ 絵:タチアナ・マイ=ウィス 訳:福本友美子 出版:絵本塾出版
そのウサギは本が大好き。
でも、動物は図書館を使えません。
ある日、どうしても本を読みたくなって・・・。
あらすじ
ウサギは本が好きでした。
図書館の外で行われている、本の読み聞かせ会を見た時から。
けれど、夏が終わると、図書館の中で読み聞かせ会をするようになりました。
図書館の中に動物は入れません。
でも、ウサギはお話が聞けないなんて、我慢できませんでした。
毎晩、本のことばかり考えて眠れなかったウサギ。
ある日、思い切って夜中に図書館へ向かいました。
図書館に着きましたが、どこも鍵がかかっています。
諦めずに探していると、いいものを見つけました。
ブックポストです。
ウサギはブックポストから、図書館の中へ入りました。
そこには本が一杯です。
持てるだけの本を選ぶと、ブックポストから本を外へ出し、家へ帰りました。
それからウサギは毎晩、図書館へ行くようになりました。
図書館へ行っては、本を集め、家に帰って読みふけるのです。
ある晩、ヤマアラシが、ウサギの家を訪ねてきました。
ヤマアラシはウサギが本を読んでいるのを見て、驚きました。
ヤマアラシは本の面白さを知らなかったのです。
そこで、ウサギは秘密を打ち明け、一緒に図書館へ行くことにしました。
ヤマアラシはたくさんの本に大喜び。
本を持って帰り、ウサギの家で読みふけりました。
次第に本のうわさが広まり、動物たちが次々とウサギの家へやってくるようになりました。
そこで、ウサギはみんなで図書館へ行くことに。
いつものように、みんなで本を探していると、入り口で鍵を開ける音がしました。
しかし、動物たちは本に夢中で気が付きません。
さらに足音が近づいてきます。
動物たちは一体どうなってしまうのでしょう?
『としょかんへぴょん!ぴょん!ぴょん!』の素敵なところ
- ウサギの本への愛が伝わってくる
- 図書館の平等の精神を強く感じる結末
- 読むと図書館へ出かけ、本を探したくなる
ウサギの本への愛が伝わってくる
この絵本を読んで、まず感じるのは、ウサギがどれだけ本を好きかだと思います。
お話を聞けなくなって、夜も眠れないウサギ。
図書館へ入ると、たくさんの本に目を輝かせるウサギ。
畑一杯の美味しい人参より、本棚いっぱいの本が好きというウサギ。
その幸せそうな姿と嬉しそうな顔で、どれだけ本が読みたかったのか、伝わってきます。
この愛があるからこそ、本当はいけない図書館への忍び込みも、応援したくなってしまうのです。
図書館の平等の精神を強く感じる結末
でも、どんどん本を借り続け、バレない訳がありません。
図書館への忍び込みも、終わりの時がやってきます。
そこでの結末もまた素敵なのがこの絵本。
そこには図書館の誰でも利用できるという、平等の精神がしっかりと示されているのです。
人間でも、動物でも。
図書館の本質を本好きな動物との、心温まるやり取りを通して、読んでいる人に自然に伝えてくれるのは、この絵本の本当に素敵なところだと思います。
読むと図書館へ出かけ、本を探したくなる
さて、そんなわけで、この絵本を読んでいると、とても図書館に出かけたくなります。
たくさんの本に囲まれ、本の匂いを嗅ぎ、ブックポストを確認したくなるのです。
もちろんお気に入りの本も探します。
ウサギのように、ヤマアラシのように。
お気に入りの本が見つかったら、きっと抱きしめてしまうでしょう。
そして最後に、図書カードの出番です。
そんな図書館での当たり前のことも、この絵本を読むといつもよりキラキラして見えるのです。
二言まとめ
心から本のことを大好きなウサギの姿を通して、新しい本を読みたくなる。
すぐに図書館に行って、お気に入りの本を探したくなる、借りたくなる絵本です。
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