カチンコチン!(4歳~)

絵本

作:新井洋行 絵:小林ゆき子 出版:くもん出版

オバケたちの住むぴーかーぶー村。

これはその村に住む、雪女のゆきちゃんへ届いた、一つの小包から始まるお話です。

あらすじ

ここはオバケたちの住む、ぴーかーぶー村。

オバケたちは人を怖がらせるのが大好きなので、人っ子一人やってきません。

そんな村はずれに、雪女のゆきちゃんが一人で暮らしていました。

ある日、ゆきちゃんの家に小包が送られてきました。

送り主はゆきちゃんのママ。

箱のリボンを外そうとすると、

「はっくちゅー!」

くしゃみとともに、中から真っ白なネズミが飛び出して来ました。

氷の国でペットとして大人気の雪ネズミでした。

でも、そのくしゃみを浴びた、ゆきちゃんの帽子と郵便屋さんがカチンコチンに・・・。

どうやら、雪ネズミは風邪を引いているみたいです。

雪ネズミの他にも、箱の中にはママからの手紙が二枚入っています。

手紙には、雪ネズミの名前が「あちゅー」だということ、雪ネズミのくしゃみでも浴びれば、村中みんなが凍ってしまうことが書かれていました。

一枚目を読み終えたところで、あちゅーが森の中へ消えていくことに気が付きました。

ゆきちゃんは、読みかけの手紙を袖の中に押し込み、あちゅーを追いかけていきました。

森の奥へ追いかけていくと、そこにはドラキュラ男爵の屋敷がありました。

そして、中から、

「はっくちゅー!」

という声が・・・。

屋敷へ入ると、ドラキュラ男爵がカチンコチンになっています。

さらにまた遠くで、

「はっくちゅー!」

という声。

声のする方へ行ってみると、ミイラ男や三人のオバケがカチンコチンに。

そして、その先には広場が見えます。

タイミングの悪いことに、広場では月に一度のバザーが開かれ、たくさんのオバケたちで賑わっていました。

ここで、くしゃみをされたら大変です。

がっくりと肩を落とすゆきちゃん。

と、同時に何かを決意したように・・・。

『カチンコチン!』の素敵なところ

  • 前作を知らなくても楽しい、前作を知っているともっと楽しい!
  • 何かが起こる「はっくちゅー!」
  • 怖すぎる雪女の本気

前作を知らなくても楽しい、前作を知っているともっと楽しい!

この絵本は、前作『ぴーかーぶー!』のシリーズもの。

ぴーかーぶー村の外れで起きた出来事が描かれます。

でも、前作を読んでいなくても安心。

この絵本だけでしっかり完結しているのが嬉しいところ。

だけど、両方読んでいるともっと楽しめるのも素敵なところです。

それは、カチンコチンにされたオバケたちが、前作と共通しているから。

どっちを先に読んでも、

「あ!あの時のオバケだ!」

と、同じ村の同じオバケだと気付くのです。

どちらかだけ読んでも、どちらから読んでも楽しめるこの作りが、本当に素敵だと思います。

何かが起こる「はっくちゅー!」

さて、そんな今回のお話の中心は、雪ネズミのあちゅーです。

くしゃみをすると、どんな怖そうなオバケもカチンコチンにしてしまいます。

その合言葉は「はっくちゅー!」。

これが聞こえたら、何かが凍ると言うお約束が、この絵本の面白いところです。

遠くから次々聞こえる「はっくちゅー!」。

それを聞けば、

「あ!またくしゃみしてる!」

「今度は何が凍ってるんだろう!?」

「はやく捕まえないと!」

と、子どもたちもドキドキワクワク!

次の展開が気になってしょうがありません。

このわかりやすい「はっくちゅー!」の期待感と、期待に応えるオバケの氷っぷりがとても素敵なところです。

怖すぎる雪女の本気

でも、後手に回ってばかりもいられません。

ゆきちゃんが、ついに本気で確保をする決意をします。

その本気の迫力がすごい!

小さくてかわいいゆきちゃん。

困り顔で、あちゅーを追いかける姿は人間の子どもそのものです。

しかし、本気を出したらやっぱりオバケ。

そのギャップの凄さが、怖くて、面白くて、素敵なところ。

絵のタッチすら変わってしまうほどなのですから。

二言まとめ

ネズミのかわいいくしゃみ一発で、怖いオバケが次々と凍っていく姿が面白い。

かわいくて、楽しくて、でもやっぱりちょっと怖いぴーかーぶー村のお話です。

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