作:柴田ケイコ 出版:角川書店
パンが大好きなパン専門のパンどろぼう。
でも、ある時盗みに入った、世界一美味しいパン屋さん。
そこのパンを一口食べると・・・。
あらすじ
町のパン屋から、一つの影が飛び出して来ました。
その姿は、なんと食パン。
しかも、食パンが食パンを担いでいます。
この食パンを盗んだ食パンは、パンが大好きなパンどろぼうだったのです。
美味しいパンを探し求めて、色々なパン屋へ忍び込み、パンを盗んで来ては、家で食べているのでした。
ある日、パンどろぼうは、森の中で見たことのないパン屋を見つけました。
看板には「世界一美味しいパン」と書いてあります。
それを見ると、パンどろぼうは早速忍び込みました。
中にはおじさんが作る、焼き立てパンがずらりと並んでいました。
おじさんにばれないように、目当てのパンへ近づきます。
そして・・・。
狙ったパンを担いだら、出口まで一目散。
無事にパンを盗み、家まで帰ってきたのでした。
ふっくらホカホカのパンを、早速いただきます。
パンどろぼうが、一口かじると・・・。
『パンどろぼう』の素敵なところ
- パンが好き過ぎるパンどろぼう
- 店内に並べられた美味しそうで可愛いパンたち
- まさか過ぎる急展開
パンが好き過ぎるパンどろぼう
この絵本のパンどろぼうは、パンをこよなく愛しています。
家の中のデザインは、パン型の窓、パン型ソファー、パンのぬいぐるみ・・・と、パンで統一されています。
盗みに関しても、いただくパンは一つだけなど、パンを楽しむうえでの鉄の掟を決めています。
なにより、盗んだパンを食べる時の美味しそうな表情とセリフです。
パンが好き過ぎることが伝わってきます。
こんなにパンが好きなのに、それを泥棒するというギャップ。
これがなんとも言えない面白さを生んでいます。
子どもたちも、
「パン美味しそう~」
「食べた~い」
と言いつつ、
「でも、盗んじゃだめだよね」
と、冷静さは忘れません。
この応援したいような、ダメなような不思議な感覚が魅力の一つなのでしょう。
店内に並べられた美味しそうで可愛いパンたち
そんなパンどろぼうが盗みに入った一つのパン屋。
そこは世界一美味しいパン屋です。
並べられているパンも、種類が豊富でどれも美味しそう。
香ばしそうなクロワッサン、ボリュームたっぷりコロッケパン、可愛いサルパンやウサギパン、違う絵本で見た顔のシロクマパン。
美味しそうから、可愛いまでなんでも揃っています。
これを見たら、
「私これがいい!」
「ぼくはこれ!」
と、どれがいい論争が始まらない訳がありません。
されには、そこにパンどろぼうが隠れている、パンどろぼう探しまで入っているのだからたまりません。
「あ!あそこにいるよ!」
と、誰が一番に見つけた論争も始まります。
なんと、楽しい時間でしょう。
本当のパン屋さんに来たような賑やかさです。
まさか過ぎる急展開
さて、なんとかパンを盗み出したパンどろぼう。
家に帰って、パンを食べたところから、まさかの急展開が待っています。
知らない子はびっくり仰天。
知っている子は「来るぞ、来るぞ・・・」とニヤニヤ。
そして、みんなで大笑い。
初見でも、何回見ても楽しく笑える場面です。
その後の、パンどろぼうの行く末も、心からよかったと思えるものになっています。
この、みんなで思いっきり笑えるところも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
パンが好き過ぎて泥棒してしまうパンどろぼう。
笑いあり、感動あり、爆笑ありの、読んだら絶対にパンを食べたくなる絵本です。
コメント