参考文献:『ワールド・カフェ』 著:アニータ・ブラウン&デイビッド・アイザックス
お元気様です!
登る保育士ホイクライマーです。
すっかり街はハロウィン一色。
子どもたちも楽しみにしています。
保育園のハロウィンで困るのは、ずばり髪型!
衣装に合わせ、「魔女みたいにして~」などと言われます。
魔女みたいとは・・・?
髪が短い子のラプンツェルも相当困りますが。
さて、今回は会話型リーダーシップについて書いていきたいと思います。
みなさんは会話型リーダーシップという言葉を、聞いたことがあるでしょうか?
簡単に言うと、「日常の雑談のようなリラックスした会話から、良いアイディアや大切な課題が生まれる」という考え方です。
大切なことを決める時や何かを学ぶ時、会議や講演会という形式が多いと思います。
それは教えてもらう形式です。
反対に、会話型リーダーシップは、自分たちで考え、学びやアイディアを作り出す形式になります。
きっと、この会話型リーダーシップは、指導型の教育に疑問を感じている人、子どもたちの主体性を引き出したい人、後輩への教育の仕方に悩んでいる人には、とても参考になると思います。
また、教育現場以外にも、職場での教育や、課題の発見、大切なことを多人数で決めていく時などに、とても役に立つでしょう。
ぜひ、お楽しみください。
会話型リーダーシップとは?
先ほども簡単にお伝えしましたが、会話型リーダーシップとは、
日常の雑談のようなリラックスした会話から、良いアイディアや大切な課題が生まれる
という考え方です。
それと、もう一つ重要なのが、
答えがない
というところです。
みんなで考えていき、出てきたものが答えとなるのです。
しかし、それを作り出していかないと、リーダーシップとは呼べません。
そうした場を作り出すことが、リーダーシップだからです。
そのために、非常に重要な手段があります。
それが、
質問
です。
この質問を通して、考えをより深め、自分に必要なことを明確にしていくのです。
そして、その場や時間を作り、その場の議題や課題に適した質問を考え、投げかけるのが会話型リーダーシップを取り入れる人の役割なのです。
質問に関して詳しいことは。後の部分で触れていきたいと思います。
会話型リーダーシップの使い方
早速ですが、質問を中心とした会話型リーダーシップの使い方について、お話していきたいと思います。
会話型リーダーシップを行う人をホスト。
招待される人をゲストとします。
環境設定
まず、大前提として、くつろげる雰囲気の中、上下関係がない状態で行います。
でないと、本当に考えていることを言うことが出来ません。
ホスト側は、ゲストをもてなし、歓迎していることを伝えることが大切です。
きっと、ゲストは「指導的な関わりの場で、なにかを教えられる」という受け身な気持ちでやってくることが多いです。
そこで、これまでの指導的な関わりではないことを、相手に伝える必要があるのです。
また、話す中で出てきた考えを落書き出来る、大きな紙などを中心に置いておきましょう。
ちょうど、囲んでいるテーブルの、テーブルクロスとして置いておく感じです。
そして、出てきた意見は簡単に書き留めておきましょう。
出てきた意見を視覚化することで、理解を助け、グルーピングするなど、より会話が深まるきっかけにもなります。
字でも、絵でも、図でもかまわないので。
質問を中心に進める
準備が整ったら、いよいよ進行していきます。
とはいえ、ホストの大きな役割は最初の質問をして、それについて一緒に考えることです。
例えば、保育であれば、
「最近、噛みつきが多い。噛みつきを減らすにはどうすればいいか?」
という質問があるかもしれません。
この質問には、様々な原因が考えられます。
遊ぶ場所が狭い、保育士の数が少ない、時間的余裕がない、特定の子が不安定になっている。
それらを話し、書き出していくと、次の質問が出てくるでしょう。
例えば、
「なぜ、時間的余裕がないのか?」
「その子はなんで不安定なのか?」
などが考えられるかもしれません。
こうして実情を、くつろいだ雰囲気の中で、上下関係なく話し合い、問題を明確化し、さらに深い質問に繋げていく。
そして、最終的に導き出した質問に対してアクションを起こし、その結果を元にまた会話型リーダーシップをホストする。
こうすることで、ホストとゲストが同じ気持ちで、未来へと協働していくのです。
他にも、「保育園をどんな理念で運営していくか?」といった大きな質問が出るかもしれません。
企業であれば、
「売り上げを上げるにはどうすればいいか?」
「クレームが多い。どうすれば減らせるか?」
などが、出てくることもあるでしょう。
規模が多くなれば、参加者も多くなります。
その際には「ワールドカフェ」という手法が有効です。
考え方は、少人数のものと一緒で、質問を作っていきます。
ただ、大人数でも小グループでの話し合いが出来ること、その小グループ同士の話し合いが、話し合いの場全体に伝わり、影響を与え合って、さらなる質問が生まれる設計になっています。
詳しくは参考文献の『ワールドカフェ』を読んでみてください。
開催したワールドカフェの具体例なども載っています。
会話型リーダーシップのメリット・デメリット
では、会話型リーダーシップのメリットとはなんでしょうか?
それは、大きく、
- 自分事として捉えられる
- 複雑な問題を考えるのに適している
- 1対1の少人数から100人以上の大人数の話し合いまで対応している
の三つだと思っています。
一つずつ見ていきましょう。
自分事として捉えられる
ぼくの中で、一番大きいと思えるのはこの点です。
これまでの指導的な関わり方と違い、問題点や課題、どんなことをやりたいかなど、焦点となる物事について、質問を考えていくのが会話型リーダーシップです。
そして、考えた質問を問われるのは、自分自身なのです。
自分で考え出した質問に、自分で答える。
これは、その焦点となる物事へ、自分なりの答えを出していくということに他なりません。
指導的な関わり方だと、それを聞いて「なるほど」と思って終わりになってしまいがちです。
「自分の考え方とは違う」と、聞き流すだけになってしまうこともあるでしょう。
しかし、会話型リーダーシップでは、自分で質問を考えていくことで、そのために自分はどうするのかとういう所まで考えさせられます。
その物事が、否応なく自分事となるのです。
複雑な問題を考えるのに適している
また、複雑な問題であればあるほど、会話型リーダーシップは力を発揮します。
なぜなら、色々な考え方を取り込みつつ、前に進んでいけるからです。
問題が複雑になるほど、参加者の考え方や立場が多様化していくはずです。
保育園で言えば、クラス内の問題であれば、担任間でいいかもしれません。
しかし、園全体のことになれば、園長・主任・本社や市区町村も関係してくるでしょう。
政治や、人種問題、貧困などのより複雑な問題であれば、さらに多様化していきます。
そんな複雑な問題にも、対応し協働する未来を作っていけるのが会話型リーダーシップなのです。
1対1の少人数から100人以上の大人数の話し合いまで対応している
複雑な問題を考えることとリンクしているのですが、人数を問わないのも会話型リーダーシップの優れたところです。
開催の仕方次第ですが、大人数でも、深い話し合いを促すことが出来るのです。
一つの考え方で、ここまで対象人数を幅広くフォローできる考え方は中々無いと思います。
会話型リーダーシップのデメリット
もちろん、いいところばかりではありません。
会話型リーダーシップのデメリットにも触れておきます。
それは、大きく、
- ホストが難しい
- まとまった時間が必要
の二つです。
答えが決まっていないということは、どう進んでいくかわからないということです。
その中で、臨機応変に対応しなければいけません。
自分の答えを押し付けず、自分の答えに誘導せず、その中で、話し合いを円滑に進めていく。
こんなに難しいホストがあるでしょうか?
また、会場作りにも工夫が要ります。
いつもと同じように、机を並べ、いつもと同じように開くだけでは駄目だからです。
もちろん、必要以上に大規模にする必要もありませんし、手間をかける必要もありません。
クラス内などの少人数であれば、好きな飲み物と、お菓子を置いておくくらいでいいでしょう。
季節の折り紙を、机の真ん中に置いておくだけでもいいかもしれません。
しかし、頭を使い工夫しなければならないことに、変わりはありません。
ゲストがくつろげる空間を作るのも、中々難しいものです。
まとまった時間が必要なのも、中々大変なところです。
おそらく、自然に身を任せていては捻出することは出来ないでしょう。
会話型リーダーシップをホストすると決め、意図的に時間を作り出さなければいけません。
自分の時間だけではなく、ゲストの時間まで作り出すとなると、かなり難しい問題です。
まずは、クラス内、部署内など小さな規模で行っていき、徐々にその輪を広げ、上司などを巻き込んでいくのがいいのかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
どんどん複雑化する社会に、一つの答えを出すことはますます難しくなっていくでしょう。
その中で必要なのは、答えを出すことではなく、一緒に考えていくことだと思います。
そして、一緒に考えていく場を作るという考え方が、会話型リーダーシップなのです。
家族、仕事、政治、教育、様々な場面に応用できる考え方だと思います。
ぜひ、いいと思ったら、積極的に使ってみて下さい!。
ぼくは職員会議を、会話型リーダーシップでやってみたいなと画策中です!
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