ふっと・・・(4歳~)

絵本

文:内田麟太郎 絵:松成真理子 出版:BL出版

ふっと頭に浮かぶこと。

現実的なことから、非現実的な空想まで。

ふっと思い浮かんだ絵本です。

あらすじ

空を見上げたゾウがふっと・・・。

鼻で雲にぶら下がる。

都会の高層ビルがふっと・・・。

富士山の頂上に横になる。

海を渡るツバメがふっと・・・。

町の電線に並んでとまる。

それを見てペンギンもふっと・・・。

電線にとまりまねっこをする。

ティラノサウルスがふっと・・・。

ふっと・・・。

『ふっと・・・』の素敵なところ

  • 思い付きならではの唐突さ
  • とても和む「ふっと・・・」たち
  • 「ふっと・・・」思っていたのは誰だろう

思い付きならではの唐突さ

この絵本には、色々な「ふっと・・・」が出てきます。

急に頭に浮かぶ「ふっと・・・」。

それはとても直感的。

だから、脈絡もないし、非現実的なこともある。

そんな空想が、そのまま絵本になっているのが、とても面白く素敵なところ。

ゾウが雲にぶら下がっても、ビルが富士山の頂上で昼寝をしても、飛べないペンギンが電線にとまってもいいのです。

子どもたちも、唐突な展開に、

「えー!?ゾウが空飛んでる!」

「ペンギンは飛べないのに!」

と、最初は言っていましたが、「ふっと・・・」に慣れてくると、

「かわいい!」

「こんな風に出来たらいいよね」

と、空想に身を任せ、楽しむ姿も出てきました。

とても和む「ふっと・・・」たち

また、出てくる「ふっと・・・」たちが、どれも柔らかく、なんだか和むものばかりなのも素敵なところです。

刺激的なものはなく、大笑いするよりも、「ふふっ・・・」と、思わず笑ってしまうものばかり。

読んでいると、「ふっと・・・」肩の力を抜いてくれます。

のんびりゆったり、程よく脱力させてくれるのです。

「ふっと・・・」思っていたのは誰だろう

さて、絵本に出てくる色々な「ふっと・・・」。

でも、このふっとに主語がないのも、この絵本の面白いところです。

場面だけ見れば、ゾウやビルなどが「ふっと・・・」思っているみたい。

ですが、他の主語であることも考えられる作りになっています。

主語が変わると、この絵本の世界観も変わってきます。

そんな風に、少し含みがあり、思考の迷路に誘ってくれるのも、この絵本の素敵なところだと思います。

二言まとめ

脈絡も現実感もない「ふっと・・・」頭に浮かんが空想。

それがそのまま描き出されて絵本になった、不思議で楽しく肩の力が抜けてしまう絵本です。

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