にかいだてバスにのって(3歳~)

絵本

作:せきなつこ 出版:福音館書店

ロンドンを走る二階建てバス。

その特等席で、ロンドンの街を走ります。

絵と実写が融合した、本当にバスに乗っている気分になれる絵本です。

あらすじ

ぼくはロンドンに住む男の子。

今日は、お父さんと二階建てバスでお出かけだ。

手を上げると、大きな二階建てバスが止まる。

前からも後ろからも乗れるから、今日は後ろから乗ることにした。

乗る時は、カードをかざしてピッとする。

細い階段を登り、早速二階へ。

もちろん狙うのは特等席。

ラッキーなことに、今日は一番前の特等席が空いていた。

早速座り、窓から横を見ると、ツアーバスを追い越すところだった。

ツアーバスのお客さんが、みんな手を振ってくれている。

バス停に着くと、たくさんの人が乗ってきた。

一緒にチケットを確認するインペクターも乗ってくる。

ぼくの所にもインペクターが来たので、カードをピッとかざすと褒められた。

バスは走り出し、ロンドンを巡っていく。

警察の騎馬隊、街の風景、名物のビッグベン。

色々な景色が、この親子を待っています。

『にかいだてバスにのって』の素敵なところ

  • 絵と実写の融合で、本当に乗っている気分
  • リアルに描かれた景色の外国旅行感
  • 男の子の物凄くウキウキした表情

絵と実写の融合で、本当に乗っている気分

この絵本の特徴的なところは、人の手と顔だけが実写で描かれていることでしょう。

街並みも、バスも、動物も、服装も全て絵ですが、顔と手だけが実写なのです。

これにより、物語に不思議なリアルさが醸し出されます。

実際にそこに人がいて、自分がバスに乗っている感覚にしてくれるのです。

きっと、出てくる人たちが表情豊かなのもポイントなのでしょう。

談笑する人、読書をする人、楽しそうに笑う子どもとお母さん・・・。

自分が本当にロンドンの街にワープしてしまったよう。

それが、この物語の没入感に繋がっているのだと思います。

リアルに描かれた景色の外国旅行感

もちろん、実写ではないロンドンの街並みも見逃せません。

実写ではないけれど、とてもリアルに描かれます。

それと当時に、絵だからこその見やすさや、楽しいシチュエーションを作り出していて、見ごたえのあるものになっているのだと思います。

道路を歩く馬にまたがった騎馬隊。

映画のワンシーンのような、パン屋などが並ぶ街並み。

そして、そびえ立つビッグベン。

もちろん、そこに生きる人たちは実写で、みんな外国人です。

これがより街並みを生き生きとしたものにしてくれます。

さらに、親子は日本人なのも面白いところで、とても自分を投影して入り込みやすい作りになっているのです。

まさに、外国で観光をする日本人として、絵本の中に入り込んでいけるのです。

男の子の物凄くウキウキした表情

忘れてはいけないのが、主人公の男の子のウキウキした表情。

乗り物好きの男の子が、二階建てバスに乗る時は、こんな顔になるだろうなという表情です。

自然と顔がにやけてしまい、カードをかざす時も、最前列に急ぐ時にお父さんを呼ぶ時も、とにかく嬉しそう。

手には、二階建てバスのおもちゃもしっかり持っています。

他にも観光客に手を振ったり、窓からの景色に夢中だったり、およそ子どもがやりそうなことは全部やってくれます。

見ている子にとってはまさに自分の代弁者。

だからこそ、自然に男の子と同じ目線で、絵本の中の二階建てバスに乗れるのだと思います。

二言まとめ

日本人親子が、二階建てバスに乗ってロンドンの街を観光する。

そのシチュエーションと、実写が融合した景色が、本当にロンドンの街にいる気分にさせてくれる絵本です。

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