作:せきなつこ 出版:福音館書店
ロンドンを走る二階建てバス。
その特等席で、ロンドンの街を走ります。
絵と実写が融合した、本当にバスに乗っている気分になれる絵本です。
あらすじ
ぼくはロンドンに住む男の子。
今日は、お父さんと二階建てバスでお出かけだ。
手を上げると、大きな二階建てバスが止まる。
前からも後ろからも乗れるから、今日は後ろから乗ることにした。
乗る時は、カードをかざしてピッとする。
細い階段を登り、早速二階へ。
もちろん狙うのは特等席。
ラッキーなことに、今日は一番前の特等席が空いていた。
早速座り、窓から横を見ると、ツアーバスを追い越すところだった。
ツアーバスのお客さんが、みんな手を振ってくれている。
バス停に着くと、たくさんの人が乗ってきた。
一緒にチケットを確認するインペクターも乗ってくる。
ぼくの所にもインペクターが来たので、カードをピッとかざすと褒められた。
バスは走り出し、ロンドンを巡っていく。
警察の騎馬隊、街の風景、名物のビッグベン。
色々な景色が、この親子を待っています。
『にかいだてバスにのって』の素敵なところ
- 絵と実写の融合で、本当に乗っている気分
- リアルに描かれた景色の外国旅行感
- 男の子の物凄くウキウキした表情
絵と実写の融合で、本当に乗っている気分
この絵本の特徴的なところは、人の手と顔だけが実写で描かれていることでしょう。
街並みも、バスも、動物も、服装も全て絵ですが、顔と手だけが実写なのです。
これにより、物語に不思議なリアルさが醸し出されます。
実際にそこに人がいて、自分がバスに乗っている感覚にしてくれるのです。
きっと、出てくる人たちが表情豊かなのもポイントなのでしょう。
談笑する人、読書をする人、楽しそうに笑う子どもとお母さん・・・。
自分が本当にロンドンの街にワープしてしまったよう。
それが、この物語の没入感に繋がっているのだと思います。
リアルに描かれた景色の外国旅行感
もちろん、実写ではないロンドンの街並みも見逃せません。
実写ではないけれど、とてもリアルに描かれます。
それと当時に、絵だからこその見やすさや、楽しいシチュエーションを作り出していて、見ごたえのあるものになっているのだと思います。
道路を歩く馬にまたがった騎馬隊。
映画のワンシーンのような、パン屋などが並ぶ街並み。
そして、そびえ立つビッグベン。
もちろん、そこに生きる人たちは実写で、みんな外国人です。
これがより街並みを生き生きとしたものにしてくれます。
さらに、親子は日本人なのも面白いところで、とても自分を投影して入り込みやすい作りになっているのです。
まさに、外国で観光をする日本人として、絵本の中に入り込んでいけるのです。
男の子の物凄くウキウキした表情
忘れてはいけないのが、主人公の男の子のウキウキした表情。
乗り物好きの男の子が、二階建てバスに乗る時は、こんな顔になるだろうなという表情です。
自然と顔がにやけてしまい、カードをかざす時も、最前列に急ぐ時にお父さんを呼ぶ時も、とにかく嬉しそう。
手には、二階建てバスのおもちゃもしっかり持っています。
他にも観光客に手を振ったり、窓からの景色に夢中だったり、およそ子どもがやりそうなことは全部やってくれます。
見ている子にとってはまさに自分の代弁者。
だからこそ、自然に男の子と同じ目線で、絵本の中の二階建てバスに乗れるのだと思います。
二言まとめ
日本人親子が、二階建てバスに乗ってロンドンの街を観光する。
そのシチュエーションと、実写が融合した景色が、本当にロンドンの街にいる気分にさせてくれる絵本です。
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