文:内田麟太郎 絵:長新太 出版:童心社
ある日、大きな森に異変が。
普通の絵本なら、少しずつ真相に近づいていきますが。
この絵本は一味違います。
ナンセンス絵本ならではの突拍子もない真相をお楽しみください。
あらすじ
大きな山と大きな山の間に大きな森がありました。
その森には
たくさんの動物が住んでいました。
ある日、雪が降りました。
50日も降り続き、山も森も真っ白になりました。
森のみんなはあなぐらの中で丸まり、寒さに耐えていました。
そんな時、森がいきなり地面から持ち上がり、ずしーんと落っこちました。
びっくりした動物たちは飛び起きました。
慌てる動物たちに知ったかぶりのキツツキが言います。
「大雪玉が山のてっぺんから転がり落ちて来ているんです。」
それに対して、負けず嫌いのキツネが言います。
「大怪獣が山の向こうから歩いてきているのです。」
その時また、森が持ち上がり落っこちました。
みんな一斉に森から逃げ出しました。
大雪玉か、大怪獣かわかりませんが「くるぞー!くるぞー!」と言いながら。
もうこれ以上逃げられないところまで逃げ、一体何が起こっているのか振り返って確かめてみることにしました。
恐る恐る振り向くとそこには・・・。
『くるぞくるぞ』の素敵なところ
- 子どもと同じ目線の言葉選び
- 何が起こっているのか気になる展開
- からの、ナンセンス絵本ならではの言葉を失う結末
全体を通して、子どもがイメージしやすい絵とそれに合わせた言葉選びをしています。
例えば「大きな森」の説明が
「どれくらい大きな森だったかというと、クマだけでも2千3百4十5頭」や
ゆきが降りやんだ後、どんなに大雪だったか表現するのに
「山も森もこんなです」と絵に丸投げしたり。
このわかりやすい文章が、話の展開をよりワクワクさせてくれます。
特に終盤の森から逃げ出して、振り向くまでの流れは思わず息をのんでしまいます。
そして、いよいよ真相が。
真相がわかった時の反応は「・・・」
口がポカーンと開いて、しばらく理解が追いつきません。
それもそのはず、理論的に考えれば考えるほど理解不能。
それがナンセンス絵本だからです。
少し時間が経ち、頭が追いついてくると「えー!なんで!」とやっと反応が。
そんなナンセンス絵本独特の振り回される感をぜひお楽しみください。
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