文・写真:佐々木マキ 出版:福音館書店
街を歩いていると、顔みたいに見える場所がある。
マンホール、家の壁、郵便ポスト。
そんな街の色んな顔と、おしゃべり出来る絵本です。
あらすじ
ぼくが街をテクテクと歩いていると、色んな顔に出会う。
マンホールのふたの、おちょぼ口だったり、わらっている顔。
プレハブ小屋のロボットみたいな顔。
信号の押しボタンの顔は、
「よう、元気かい?」
と、声をかけてくる。
別の顔は、
「お出かけですか?」
と聞いてくる。
ぼくは答える。
「ちょっと、そこまで散歩にね。」
家の壁には機嫌のいい顔。
火災報知機には渋い顔。
手すりの留め具には「まいったな、もう」と言ってる顔。
他にも、愉快な顔、可愛い顔、ぽかんと口を開けた顔。
街にはいろんな顔がいる。
『まちにはいろんなかおがいて』の素敵なところ
- 写真で紹介される、とても身近ないろんな顔
- 主観視点で自分が歩いているみたい
- 街でいろんな顔を見つけられるようになる
写真で紹介される、とても身近ないろんな顔
この絵本の面白いところは、街中に隠れている顔を発見出来る所でしょう。
そのどれもが、特殊なロケーションではなく、信号の押しボタン、マンホール、家の壁、公園の遊具など、身近なものばかり。
子どもたちも、
「あ、これ見たことある!」
「確かに顔に見える!」
「今度、もう一回見てみよう!」
と、いつも見ているけれど、顔だとは認識していなかったみたいです。
そんな顔がたくさん出てきて、子どもたちの身近なものへのイメージを広げてくれるのが、とても素敵で面白いところだと思います。
主観視点で自分が歩いているみたい
また、最初から最後まで、主観視点で描かれるのも面白いところです。
街を歩いていく時は、主観視点で景色が見え、顔に出会うと対面で話をしているみたいに見えるのです。
それはまるで、自分が歩いて散歩をし、顔に出会っているみたい。
絵本の街の中にいる気分になるのです。
この感覚が、顔としゃべる時にも活きていて、見つけた顔が、自分にしゃべりかけてきているように思えます。
街中の身近なものたちが、自分に話しかけてくる。
こんなに楽しいことはありません。
街でいろんな顔を見つけられるようになる
こうして、絵本の中の街を歩いた後は、当然自分の街も歩きたくなってきます。
散歩をしていると、いつもは見向きもしない所に顔を発見!
家の形、ブロック塀、植木など、様々なところに目が向きます。
さらに、怒った顔、笑った顔、変な顔など、どんな気持ちなのかへもイメージが膨らみます。
この絵本は読んだ後は、街を見る目が大きく変わるのも、とても素敵なところです。
二言まとめ
身近にあるけど、意外と気付かない色々な顔たちを、写真で紹介してくれる。
読めば、身近な顔たちを見つけられるようになる、目線を大きく広げてくれる絵本です。
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