言葉の呪縛~かたより言葉に込められたバイアス~

雑記

お元気様です!

登る保育士ホイクライマーです。

と、言いつつ足をケガをして、登れていない保育士のホイクライマーです・・・。

皆さんも、無理な体勢からジャンプして、ゴールを取りに行くのはやめましょうね!

さて、今回は日頃何気なく使っている言葉について、書いていきたいと思います。

「野菜も食べて偉いね」「早く出来たね」「みんな仲よく」

これらはどれも、保育や子育ての中で、よく聞く言葉だと思います。

しかし、よく考えると、そこには無言のメッセージや、価値観の刷り込みが入ってしまっています。

今回の記事は、上記の言葉をよく使う人、子どもにかける言葉に興味がある人、子どもへの言葉かけに悩んでいる人などの参考になると思います。

とても細かいようですが、日々継続的に言われるので、実は影響も大きいものだったりします。

どんな言葉がよく使われ、その裏に潜む、無意識に伝えてしまっているバイアスを確かめつつ、どんな言葉に変えて行けばいいのかを、一緒に考えていきたいと思います。

かたより言葉と中立言葉

まず、ぼくは価値観に偏りがあり、言われた人が無意識に優劣を受け取ってしまう言葉「かたより言葉」と呼んでいます。

反対に、優劣をつけることなく、伝わる言葉「中立言葉」と呼んでいます。

かたより言葉には、とてもわかりやすい分、一つの見方に偏った価値観を与えてしまう危険性があります。

それは積み重なると、一つの見方のみが正しいという考え方に繋がりやすくもなってしまいます。

小さい時に形作られた価値観は、その後の考え方に思ったよりも影響するもの。

何気なく使ってしまっている人は、少しずつでもいいので中立言葉に変えていってみてください。

よく使われるかたより言葉

野菜も食べて偉いね→野菜より肉が美味しい

これは野菜を食べている子に、言われがちです。

しかし、肉に対しては基本的に言われません。

それを聞いていると、

肉は美味しいもの・野菜は美味しくないもの→美味しくない野菜も食べているから偉い

という価値観が刷り込まれてしまいます。

すると、肉>野菜という序列になってしまいやすいのです。

特に、野菜を好きな子や、普通に食べている子に言うと影響が強く、意識していなかった序列を感じさせることになってしまいます。

早く出来たね・食べるの速かったね→早ければ早いほど偉い

生活の中で、てきぱきと早く終わった子が褒められがちです。

これを言われ続けると、「出来るだけ早くやった方がいい」という価値観が植え付けられ、早い子はより早く、遅い子はそれを聞いて心がチクチクしてしまいます。

しかし、早ければいい訳ではありません。

ゆっくりですが、丁寧な子もいます。

よく噛んで食べたら、食事時間は長くなります。

必要以上に早いことを褒めるのは、他の大切なことの否定になることもあるのです。

みんな仲良く→仲良くしていないのは悪いこと

よく標語のように使われるこの言葉。

大きなくくりで言われる分には、とても大事な考え方です。

みんな仲良くしないと、平和が維持できません。

でも、生活という狭いくくりで言えば、話は変わってきます

仲良く出来る人もいるし、ウマの合わない人もいます。

そんな中で、ケンカなどを「みんな仲良く」で片付けようとする姿が見られます。

これを続けていると、「ケンカはダメなこと」「仲よくしないとダメ」という価値観が刷り込まれてしまいます。

重要なことは、「ケンカをしても落としどころを見つけ、一緒に生活すること」ではないでしょうか。

なにしてるの!?→いつもきちんとしていないとダメ

子どもがちょっとした失敗や、変わったことをしていると言われがちな言葉です。

でも、だいたい大した理由はありません。

そのたびに、細かく「なにしてるの!?」と言われれば、見られている間は萎縮したり、必要以上にちゃんとしようとするようになります。

ですが、子どもは意味のなさそうなことや、日々のちょっとした失敗から学んでいます

「なにしてるの!?」という言葉が、その機会を減らすことにはなっていないでしょうか。

中立言葉にしてみよう

野菜も食べて偉いね→どんな味?美味しいね!なんでも食べるから大きくなるね!

普通に食べているのであれば、わざわざそこを褒める必要はありません。

その味や美味しさを共有したり、しっかりと食べていることを認めてあげればいいと思います。

いつも苦手で頑張って食べたのであれば、「苦手な○○、頑張って食べたんだね!」など、その部分を認めてあげるといいでしょう。

一部の苦手を野菜を、野菜全般に広げてしまわないよう気をつけましょう。

早く出来たね・食べるの速かったね→早ければ早いほど偉い

基本的には早さの部分には、声をかけなくてよいでしょう。

物凄く丁寧で早い時などは、「すごい綺麗にやってるのに、早いよね。どうやってるの?」など、やり方や考えていることを聞いてみるのもいいかもしれません。

ただ、競争形式など、早さを重視したことをやっている時には、早いことを認める言葉かけは大切です。

早くやることに価値を置いている以上、そのために子どもたちは努力しているはずですから。

反対に遅い子には、早い子を目標にさせるより、時間を区切って、その時間までに自分のペースで終わらせるようにするのがおススメです。

急がせるのではなく、終わらなかった時に、どうしたらよかったか話し合いましょう。

みんな仲良く→仲良くしていないのは悪いこと

「仲よくしなさい」と押さえつけるのではなく、仲良く出来ない理由と対策を子どもと一緒に考えましょう

理由が解決できれば、仲直り出来ることもあります。

理由がわかっても、仲良く出来ないこともあります。

ただ、仲良く出来なくても、一緒に生活はしなければなりません。

それならば「どうしたら仲良く出来るか」よりも、「どうしたら一緒に円滑に生活していけるか?」を考える方が建設的でしょう。

「みんな仲良く」よりも、「みんな仲良く出来るとは限らないから、どうしたら一緒に気持ちよく生活できる?」を考えていく方が、無理なく大切なことを学んでいけると思います。

なにしてるの!?→いつもきちんとしていないとダメ

否定のニュアンスを入れずに、声をかけましょう

理由を知りたいのなら「なにしてるの?」と普通に聞けばいいのです。

小さな失敗をしたら、その後の対処法を一緒に考えたらいいのです。

そこに「あーあ、やっちゃった」という、否定のニュアンスをいれると、失敗が怖くなってしまうでしょう。

子どもはよく謎の行動をしています。

観察して、予想を立て「○○くん、□□してるの?」と聞いてみるのも、おススメです。

きっと斜め上の答えが返ってくることでしょう。

まだまだあるよ!かたより言葉

ここでは特によく聞かれるかたより言葉をあげてみました。

でも、まだまだかたより言葉は潜んでいます。

例えば、

  • たくさん食べて偉いね
  • そんなこと言わないの
  • 泣かないの
  • 美味しくない・不味い

などなどです。

たまに使ってしまう分にはいいですが、日常化している人は要注意。

知らず知らず、よかれと思って、子どもに偏った考え方を刷り込んでしまっているかもしれません。

まとめ

いかがだったでしょうか?

これらの言葉は、親子の間だけでなく、保育の現場でもまだまだよく見られます。

忙しい中で、中々そんな細かいことまで気にしていられないかもしれません。

しかし、言葉は子どもの世界を形作っていく物です。

特に、日々接する人の言葉は、積み重なり子どもの世界に大きな影響を与えます。

変えていくのは大変ですが、言葉に意識を向けることはすぐに出来ます。

まずは、自分が日々どんな言葉を使っているか意識を向けてみてください

この記事を読んで、少しでも日々の言葉を振り返ってみるきっかけになれば嬉しいです。

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