おおきなねことちいさなねこ(4歳~)

絵本

再話・絵:石黒亜矢子 出版:長崎出版

仲の良い、大きなネコと小さなネコ。

でも、拾ったおにぎりの大小を巡って、大げんかしてしまいます。

そこで、賢いと評判のサルに相談しますが・・・。

あらすじ

あるところに、仲のいい大きなネコと、小さなネコがおりました。

いつも通り、一緒に遊んでいたある日。

2人は一つずつ、落ちているおにぎりを見つけました。

大喜びしたのも束の間、おにぎりを見せ合ってびっくり。

大きなネコの見つけたおにぎりはとても小さく、小さなネコの見つけたおにぎりはとても大きかったのです。

大きなネコは小さなネコが羨ましくなり、交換しようと言い出しました。

もちろん小さなネコは応じません。

2人は大げんかを始めてしまいました。

しかし、いくらけんかをしても決着がつきません。

そこで、賢いと評判のサルに相談し、解決してもらうことに決めました。

サルの住む高い木まで、頑張って歩きようやくたどり着いた2人。

サルを呼ぶと、木からするする降りてきて、2人の話を聞いてくれました。

話を聞いたサルは、秤を持ってきて言いました。

「大きさが違うからケンカするのだ。秤を使い、同じ大きさにわけてやろう」と。

2人は「名案だ」と、大喜びで賛成し、サルに分けてもらうことになりました。

さてさて、無事に同じ重さになるのでしょうか?

『おおきなねことちいさなねこ』の素敵なところ

  • サルの気持ちいいほどの悪賢さ
  • 哀愁漂う結末と教訓
  • 色々な発見が楽しい森の中

サルの気持ちいいほどの悪賢さ

この絵本の醍醐味は、やはりサルの巧みな話術に、まんまと騙されてしまう場面でしょう。

最初から確信犯としか思えない、サルの流れるような話術。

もう、感心してしまいます。

そして、悪びれもせず、帰っていく姿。

これには、気持ちよさすら感じてしまうほどです。

子どもたちはすぐに感づいて、

「おにぎりなくなっちゃうよ!」

「あ~、どんどん小さくなる!」

と、焦りますが、無情に進んでいくお話。

このなす術がない感じも、この絵本の楽しく面白いところです。

哀愁漂う結末と教訓

そんな物語の結末は、とても哀愁漂うものになっています。

おおきなねことちいさなねこの、何とも言えない姿がとても印象的。

サルに頼む前に見せた、目の輝きはどこへやら。

がっくりと肩を落として、とぼとぼと帰っていくのです。

そして、最後に一言、教訓を残します。

その一言に、悲しみと、後悔と、やるせなさの全てが詰っているのがつらい・・・。

子どもたちも、

「仲よくしないとね・・・」

と、ネコたちの哀愁漂う背中から、悲しみを受け取っているようでした。

ただ、最後の最後に、ほんのちょっと救いがあるのも、この絵本の優しくて素敵なところです。

色々な発見が楽しい森の中

さて、物語も面白いのですが、たくさんの発見が隠れている絵も、この絵本の魅力です。

森の中には、色々な動物が暮らしています。

よく見ると、ネコ以外の動物たちも、色々なことをして、森の中で生活しているのです。

お母さんとはぐれるヒヨコ。

釣りをしているネコたちを、物陰から見ているオオカミ。

いい匂いにつられ、顔を出すモグラ。

ネコたちを隠れて見ているウサギに、隠れて近づくキツネ。

など、一つ一つのページに、さり気なく気になるものが描き込まれていて、物語そっちのけで気になってしまいます。

ページを見るたびに、新しい発見を楽しめるのも、この絵本の面白いところです。

二言まとめ

けんかを仲裁するサルの悪知恵に、見ている人は感心し、ネコたちは絶望する。

やっぱり、「仲良くした方がいいよね」と、心から思わせてくれる絵本です。

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