作・絵:ひげラク商店 出版:パイ・インターナショナル
みんな大好きカレーライス。
でも、行儀が悪かったり、好き嫌いをしているとカレーだって牙をむく。
そんな美味しいけれど、ちょっと怖いカレーのお話です。
あらすじ
カレー大好きみちひとくんは自分のカレーを待ちきれず、妹のカレーをパクッ!
ところが、ニンジンが入っているのに気づくとぽーいと投げ捨ててしまいました。
パパに怒られてもへっちゃらです。
野菜を全部捨てようと、カレーに手を伸ばしました。
しかし、その手はカレーに吸い込まれ、頭も体も吸い込まれ、カレーに飲み込まれてしまいました。
気づくとみちひとくんは閻魔様の前に座っていました。
閻魔様の裁きが下り、地獄の世界へ真っ逆さま。
横取りの罪で包丁地獄。
好き嫌いの罪で鉄鍋地獄。
わがままの罪で煮込み地獄。
と、数々の地獄を味わいます。
そして完成した地獄カレーを食べると、口から火が出て涙も止まりません。
その時、真っ暗な空から一筋の光が差し込みます。
一体何が起こったのでしょう。
みちひとくんは無事地獄を抜け出して帰ることが出来るのでしょうか。
『カレー地獄旅行』の素敵なところ
- 地獄の描写がちゃんと怖い
- 野菜を食べる大切さが意外とちゃんと描かれている
- カレーに吸い込まれるところや、ラストシーンなど全体的にシュール
鬼や閻魔様、地獄の情景などが迫力あり、しっかり怖く描かれています。
読んでいると、「いきたくない・・・」「やだ~」と顔をしかめる子も多く、
この地獄に行きたくないという気持ちを持たせています。
また、地獄カレーもよくみると中々恐ろしく、ごはんやルーの中に他の子がいたり、
鍋で煮込まれていたりします。
「地獄に落ちないように好き嫌いしない」という論法かと思いきや、嫌いだったニンジンを食べる場面では、食べるとお腹がすっきりするという風にちゃんとニンジンの効能も描かれています。
全体的に迫力もありしっかりした絵なのですが、端々に隠しきれないシュールさを漂わせてもいます。
カレーに吸い込まれていく様や、最後の場面の構図など、確信犯としか思えないシュールさもこの絵本の魅力です。
予想外の展開に子どもたちもびっくり。
「え~!吸い込まれちゃった!」などなど新鮮な驚きを感じている様子です。
スタンダードな食育絵本に見せかけて、こっそりシュールな不思議な魅力の絵本です。
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