せかいのはてまでひろがるスカート(5歳~)

絵本

作:ミュン・スジョン 訳:河鍾基、廣部尚子 出版:ライチブックス

ひらひらと広がるスカート。

それがどんどん広がって、世界の果てまで届いたらなんて素敵でしょう。

そんなことを考えながら、生き物たちの生きる世界を、美しいスカートとして描いていく絵本です。

世界の果てまで届くかな?

あらすじ

女の子は考えた。

「わたしのスカート、世界の果てまで広がるかな?」

そこで、まずは色々な生き物のスカートを、見てみることにした。

ミツバチのスカートは、黄色い花のスカートだった。

スカートの中には、羊飼いの世界が広がっている。

世界の果てまで広がらないけど、いい匂いはどこまでも晴れやかに広がっていくみたい。

カエルのスカートは、蓮の葉のスカート。

スカートの中では、ドラゴンがお城に火を噴いている。

世界の果てまでは広がらないけど、女の子が雨宿りをするにはぴったりだ。

お花のスカートは、花瓶のスカート。

スカートの中では、昔の武将が馬に乗って走っている。

世界の果てまでは広がらないけど、花が咲くにはこれで十分。

テントウ虫のスカートは、木の実のスカート。

スカートの中では、魚やライオン、ヘビなどの色々な生き物が暮らしている。

世界の果てまでは広がらないけど、この実が大きくなったら、お日さまの光みたいに輝くよ。

鳥のスカートは・・・。

そして、わたしのスカートは・・・。

『せかいのはてまで広がるスカート』の素敵なところ

  • 自分たちの生きる世界でつくられたスカート
  • スカートの中に広がる色とりどりの世界
  • 自分で作る自分のスカート

自分たちの生きる世界でつくられたスカート

この絵本で、最初に感じるのが、細かく描き込まれたスカートの美しさでしょう。

でも、ただのスカートではありません。

それぞれの生き物が生きる世界を、スカートにしているのです。

カエルなら、乗っている蓮の葉。

トラなら、住んでいる山が。

魚なら、腰をおろすサンゴ礁が、スカートになっています。

スカートの中には、山ならば色とりどりの自然が、サンゴ礁なら虹色のサンゴや海藻たちが描かれます。

そのスカートは、まさに幻想的と言った表現がピッタリでしょう。

見ているだけで、スカートの中に引き込まれるようです。

子どもたちも、ページとともにスカートが広がるたび、

「お山がスカートになってる!」

「きれ~い、こんなスカート欲しい!」

「ニモも、こういうとこ住んでるもんね!」

と、目を奪われているようでした。

スカートの中に広がる色とりどりの世界

でも、このスカートは美しさだけではありません。

楽しさも描き込まれているのです。

それが、スカートの中に広がるもう一つの世界。

ミツバチのはく、花のスカートの中では、羊飼いの世界が広がります。

羊飼いの女の子が羊を追い、羊たちは自由に走り回っています。

トラのはく、山のスカートの中では、古代中国のような世界が広がります。

武術家が、青龍刀を持って山を駆け回っているのです。

このように、スカートの中には別の世界が広がっていて、その物語性を想像するのもとても面白いのです。

「あ、これアリスだ!」

「モアナみたいな子がいるよ!」

「ドラゴンを倒しに行くところじゃない?」

と、子どもたちも考察がはかどります。

自分で作る自分のスカート

さて、最後に出てくるのが、女の子のスカートです。

色々な生き物たちのスカートを見てきました。

そして、自分のスカートに絵を描き始めるのです。

これが本当に素敵です。

これまで出会ったスカートたち。

見てきたたくさんの物語。

それらがあったからこそ、このスカートは完成するのだろうなと感じさせてくれます。

と、同時に自分の欲しいスカートや世界は、自分で作っていくものなのだとも感じさせてくれるのです。

スカートを通して、自分の世界を自分で作っていく姿が、とても素敵です。

二言まとめ

生き物たちが暮らす場所を、スカートに見立てて描いた美しすぎる世界。

その世界を通して、自分のスカートはどんなスカートなんだろうと、考えさせてくれる絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました