作:松屋真由子 出版:岩崎書店
色々な形に見える雲。
あの雲たちは一体どこから来るのでしょう。
実は雲は会社で作られているのです。
そんな雲を作っている株式会社のお話です。
あらすじ
こうたくんとりこちゃんという兄弟が歩いていると、不思議な棒が落ちていました。
拾うとたちまち霧に包まれ真っ白に。
目を開けるとたくさんの鬼たちが働いていました。
受付の鬼に落とし物を届けに来たことを伝えると、総務部へ行くよう言われました。
案内され総務部に行きましたが、持ち主はわかりません。
総務部の黄色鬼さんが一緒に探してくれることになりました。
世界中の天気を決める企画開発部。
天気を色々な地域に届ける営業部。
雲を作る制作一部など、色々な部署を回り探しましたが見つかりません。
そして神秘現象制作部に行った時、そこにいた鬼島さんが兄弟が人間だと気づき、
驚いて「人間!?」と叫びました。
すると、その声に警備員も駆けつけます。
兄弟はびっくりして逃げ出しました。
逃げているうちもくもくもやもやと様子が変な場所に辿り着きました。
兄弟の運命やいかに。
落とし主も見つかるのでしょうか。
『かぶしきがいしゃくも』の素敵なところ
- 子どもの発想に近い、夢のある雲の成り立ち
- 科学的な視点もしっかり入っている
- 細かく描き込まれた会社内の様子
雲の中に会社があって、そこで作られているという子どもの発想に近い設定が、見る人を夢の世界へ引き込みます。
その雲が出来る様子もとても面白く、雲の形を手でこねて作っていたり、凍った雲をかき氷機で削って雪にしていたり。
本当に楽しそうな雲づくりを描きます。
しかし、その中にはしっかりと科学的な視点も描かれているのが素敵なところ。
大気中のちりを集めて温め、水蒸気と水に分離させ、水蒸気は雲に、水は雨粒になって外に送り出されるなど、本当の雲の成り立ちもかわいくわかりやすい絵で学ぶことが出来ます。
それらの仕事の描きこみの細かくユーモアに溢れていることと言ったら。
たくさんの会社員が、会議をしたり、おやつを食べたり、営業の電話をしたりと、
それぞれ多種多様な働き方をしていて、見ているだけでも楽しく、発見が止まりません。
とっても夢のある珍しい科学絵本です。
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