作:ローラ・カーリン 訳:ひろまつゆきこ 出版:BL出版
現実の世界を元に、作り上げていく自分だけの世界。
この絵本はその入門書です。
家、町、お店、人、動物・・・。
ローラと一緒に、自分だけの世界を作ってみませんか?
あらすじ
女の子ローラが、自分の世界の作り方を教えてくれます。
世界づくりには、周りを見ることから始めます。
自分の家だったら、本物の家の形をざっと写して絵に描きます。
写したら、ワクワクするように変えていきます。
例えば、家の階数を増やしてみたり、階段の代わりにすべり台をつけたり、プールもいるし、大きな木のてっぺんに建ててみたり。
これで、ローラに家は完成しました。
次に、うちの周りを思い浮かべます。
絵で描いたり、工作で作ったり。
自分の世界にも、外から見ると普通でつまらない建物があります。
でも、見たどおりとは限りません。
事務用品店の中がヒーロー用の靴屋だったり、不気味な家はネコがたくさん住んでいたりします。
箱で出来たある家は、近所にいて欲しい人の部屋が全部入っている部屋。
友だちや動物たちが中にいて、それぞれにぴったりな家がしつらえてあります。
これで自分の世界に、初めてのホテルが出来ました。
自分の世界にも学校はあります。
でも、やっている授業は風船をつけた椅子で空を飛ぶ授業や、変な形のストローでジュースを飲む授業など、楽しい授業ばかりです。
動物を発明することも出来ちゃいます。
まず、好きな動物や虫を6匹選んで描いてみます。
それを切って、組合わせて、新しい動物を発明しちゃいましょう。
鳥の顔に、ゾウの体、尻尾はヒョウなどなど。
今いる世界と同じように、自分の世界でも人はみんな違っています。
違いを表すのには、描き方や作り方を変えていきます。
強くて自信満々な男の人は、くっきり強い線で描いたり、恥ずかしがり屋の人は、色鉛筆を使ってそっと優しく描いてあげたり。
次は乗り物・・・。
どんどん自分だけの世界が広がっていきます。
『ローラとつくるあなたのせかい』の素敵なところ
- イメージを広げるコツや楽しさを教えてくれる
- わたしの世界とあなたの世界が、順番こにやってくる作り
- 広げたくなっていく自分の世界
イメージを広げるコツや楽しさを教えてくれる
この絵本のなにより素敵なところは、イメージの広げ方を教えてくれることでしょう。
いきなり、「自由に」と言われても、中々難しいイメージ遊び。
この絵本では、その楽しさに触れる、最初のとっかかりを教えてくれるのです。
その中でも、現実のものを改造していく手法は、とても真似しやすく、イメージも広がりやすいもの。
やっているうちに楽しくなってきて、さらにイメージが広がっていくことでしょう。
この最初の「楽しい」が、ローラと一緒に作っていくことによって、自然と感じられるのです。
わたしの世界とあなたの世界が、順番こにやってくる作り
また、文章の作りが、ローラと一緒に少しずつイメージを広げていけるようになっているのも、素敵なところです。
まず、ローラが「わたしのせかい」の作り方を伝えた後に、「あなた」へ質問してくれます。
家の場面では「今度は、あなたが住みたい家を描いてみて。その家は何でできてるの?壁や窓はあるのかな?どこから出入りするの?」
ホテルの場面では「あなたの友だちは何が欲しいかな?窓、植木、すべり台、それともブランコ?色々な紙や布を貼ったり、好きな模様で部屋を飾ったりしてあげてもいいね。」
など、「あなたの番」へ促してくれます。
これにより、ローラと一緒に、家、町、学校・・・と、順番にイメージを広げ、無理なく自分の世界を作っていけるのです。
そして、質問の中に、描くから発展させてくれる言葉が入っているのも面白いところ。
自然と、他の素材を使ってみようという気にさせてくれます。
こうして、イメージだけでなく、それを表現する方法も広がっていくのです。
広げたくなっていく自分の世界
もちろん、読んだら試したくなるのが子ども心。
読みながら、ローラと一緒に作っていってもいいですし、読み終わった後で作っていってもいいでしょう。
紙だけでも、自分の世界は作れますが、それだけではもったいない。
材料が色々あれば、どんどん自分の世界を広げていくことが出来るでしょう。
チラシ、箱、布・・・。
せっかくなら、自由に素材を組み合わせられるようにしたいところです。
また、複数人でやれば、自分の世界と他人の世界が繋がることもあるでしょう。
そこで、互いの世界の違いがわかるのも面白いかもしれません。
そんな風に、読むだけで終わらない、無限の可能性を秘めているのも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
ローラと一緒に、一つずつイメージを広げ、自分だけの世界を作っていく。
「自由」に作るのが苦手な子も、その楽しさを感じられる、イメージ遊びの入門書な絵本です。
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