かえるのほんや(4歳~)

絵本

作:やぎたみこ 出版:PHP研究所

池のほとりにある、カエルのためのカエルの本屋。

そこで売る本は、なんと手作り。

本屋の中で作っています。

これは、そんな本屋で、ある一冊の大人気絵本が出来るまでのお話です。

あらすじ

町の外れに古い本屋があります。

その本屋は、裏庭が森と繋がっていました。

その森の中にも、もう一軒本屋があります。

それは池のほとりに立つ、柳の木の根元に空いた穴の中にありました。

なんと、そこはカエルの本屋さん。

ちょうど、店長による、お話会が始まるところでした。

1冊目は『たまごからかえる』。

オタマジャクシに人気の絵本です。

2冊目は『こわいこわいへび』。

しっぽがある、子どもカエルに人気の絵本です。

3冊目は『ほんやをつくったかえる』。

この本屋を作った最初の店長のお話です。

この本屋のおかげで、森のカエルたちは、本が読めるほど賢いカエルになったのです。

本は全部、このお店で作っています。

奥の部屋に入っていくと、紙、絵の具、のり、布など、本の材料を作っています。

広いテーブルでは、店長と絵本を作るカエルたちが会議をしています。

どうやら、お話を作る作家のカエルに、いい案が浮かんでいない様子です。

話を聞くと「ハンモックで昼寝をしていたら、事件が起きる」お話にしたいみたい。

そこで、実際にハンモックで、昼寝をしてみることになりました。

作家のカエルたちがハンモックで横になり、うとうとし始めた時・・・。

ガサガサと、何かが近づいてきます。

顔を出したのは子イヌでした。

カエルたちは逃げでします。

それを追いかけてくる子イヌ。

カエルたちが池に飛び込むと、子イヌも続けて池の中へ。

水に入り、一安心したカエルたちは、子イヌと一緒に泳いで遊びました。

ところが、池の真ん中まで来ると、子イヌは疲れてしまいました。

身体がどんどん沈んでいきます。

カエルたちは力を合わせ、蓮の葉っぱに子イヌを押し上げました。

丁度その時、飼い主の親子が子イヌを見つけてびっくり。

心配ですが、中々助けることが出来ません。

水の中では、蓮の葉っぱが沈まないように、大勢のカエルたちが駆けつけて、下から葉っぱを支えています。

子イヌを助ける方法をあるのでしょうか?

『かえるのほんや』の素敵なところ

  • 体当たりな絵本作りの物語
  • 「読んでみたい」と思わせてくれる、面白そうな絵本たち。
  • カエルの絵本が読めるようになるカエル文字辞書

体当たりな絵本作りの物語

この絵本の見どころは、本当に起こった事件が、絵本になるまでを見ることが出来る所でしょう。

アイディアに悩み、とりあえずハンモックに寝てみたら、本当に起きる事件。

逃げて、遊んで、助けて・・・。

目の前で起こる出来事に、もう目が離せません。

この事件だけでも、ハラハラドキドキで十分に面白い。

だけど、この絵本はここで終わらないのです。

それを元に、作られていく絵本。

作っている途中のページには、さっき見た場面が描かれています。

「あ、ハンモックで寝てるところだ!」

と、子どもたちのテンションも上がります。

そして、完成し始まるお話会。

カエルたちは、実際に自分たちが活躍した事件が絵本になり大喜び。

子どもたちも、

「ほんとに絵本になってる!」

「イヌを助けてるところだ!」

と、まるで当事者のカエルたちのように大喜び。

気持ちはカエルたちと一緒のようでした。

事件を見るだけじゃなく、自分たちの目の前で起こった事件が、絵本になってしまうというのが、この絵本の素敵なところです。

「読んでみたい」と思わせてくれる、面白そうな絵本たち。

また、面白そうな絵本は、この新作絵本だけではありません。

お話会で読んでくれる本や、本棚に並んでいる本のリアリティがすごく、本当にありそうなものばかり。

自分でも手に取って読んでみたくなるのです。

特に『こわいこわいへび』などは、「こわいこわいシリーズ」というシリーズもので、『こわいこわいねこ』、『こわいこわいからす』があるみたい。

どんなお話なのか気になってしょうがありません。

『ほんやをつくったかえる』も、絵本のページからなんとなく内容がわかるのですが、だからこそ詳しく読んでみたくなるのです。

子どもたちからも、

「これ読んでみたいな~」

「本当にあるお話かな?」

と、読んでみたいコール。

その気持ちわかります。

カエルの絵本が読めるようになるカエル文字辞書

さて、カエルの本屋に並ぶ絵本は、どれもカエル文字で書かれています。

表紙も、中の文章もちんぷんかんぷん。

これではどんなに面白そうでも読むことは出来ません。

しかし、安心してください。

なんと、一番最後に、カエル文字の辞書がついているのです。

50音に対応したカエル文字が書いてあり、対応させると読めるのです。

店長がお話会で開いているページの中身。

本棚に並んでいる本のタイトル。

表紙に散りばめられた本の文字。

全て読むことが出来ます。

辞書を見ながら、気になった本を調べ、その中身を想像するのもこの絵本の素敵なところ。

思う存分、カエルの世界へと入っていけるのです。

二言まとめ

1つの事件をきっかけに、一冊の大人気絵本が出来ていく過程が楽しい。

自分でも、カエルの本屋に行き、並ぶ絵本を読んでみたいと思わせてくれる絵本です。

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