作:高畠那生 出版:岩崎書店
ペンギンたちが、クリスマスプレゼントに用意した雪。
まさか、あれがあんなことになって、そんなことになって、こんな形になるなんて!
まさにクリスマスの奇跡!?
あらすじ
ペンギンたちが大きな台車に、大量の雪を載せて運んでいます。
これから行く、七面鳥の町でのクリスマスパーティーに、雪景色のプレゼントをするつもりなのです。
この山を下れば、七面鳥の町。
斜面をゆっくりと気を付けながら、台車を進めていきます。
と、その時、台車が斜面を転がり始めてしましました。
追いかけるペンギンたち。
しかし、台車は止まりません。
そのまま崖から飛び出して・・・。
どっしゃ~ん!
大きな箱はバラバラになり、雪が地面に散らばってしまいました。
ペンギンたちは雪をかき集め、一枚の板に乗せていきます。
それを借りた車の上に乗せ、改めて出発!
七面鳥の元へ急ぎます。
すると、目の前に、雪よりも小さいトンネルが。
トンネルを抜けると、雪は少し小さくなり、トンなるの形になりました。
次に並木道を通っていくと、並木に雪がぶつかって、削れた雪はまん丸に。
さらに人間の街を、洗濯物や電飾を巻き込んで進んでいきます。
そして、いよいよ七面鳥の町が見えてきました。
最後のカーブを曲がった時、板の上の雪玉がゴロン・・・。
七面鳥の町に転がっていく雪玉。
一体どうなってしまうのでしょうか?
『クリスマスのきせき』の素敵なところ
- お約束過ぎるゆえに、鉄板な物語の始まり
- どんどん変わっていく雪の形にワクワク
- 「奇跡的に丸く収まった!?」な最後の場面
お約束過ぎるゆえに、鉄板な物語の始まり
このお話の始まりは、ダチョウ倶楽部の笑いくらい、鉄板な流れで始まります。
大量の雪を載せた台車、下り坂、「ゆっくりゆっくり」の掛け声。
もう、「押すなよ押すなよ」としか聞こえません。
子どもたちも、
「大丈夫かな・・・」
「そっとだよ・・・」
と、言いながら期待のこもった眼差し。
そして、もちろん走り出す台車。
「あー!やっぱりー!」
と、嬉しそうな子どもたち。
からの崖を飛び出し、どっしゃ~ん!と、派手に散らばる雪・・・。
流れが完璧すぎて、逃げられる子どもは一人もいません。
この頃には、完全に物語の中に入り込んでしまうのです。
どんどん変わっていく雪の形にワクワク
だけど、それだけでは終わりません。
散らばった雪をかき集め、また動き始めます。
ここからは、まさかの出来事の連続にハラハラドキドキ。
どう見ても、ぶつかりそうなトンネルをくぐったり、並木に削られて丸くなったり・・・。
そのたびに、子どもたちも、
「ぶつかっちゃうよー!」
「雪落ちちゃった!」
「ボールみたいになったよ!?」
と、驚いたり、喜んだり、大忙しです。
もう、どうなるのか予想もつきません。
このお約束から、「どうなっちゃうんだろう?」に繋がっていくのも、おもしろいところです。
「奇跡的に丸く収まった!?」な最後の場面
さて、そんな物語の最後は、誰もが予想外のものでした。
まるでピタゴラスイッチ。
あまりの収まりの良さに、子どもたちからも歓声が上がります。
箱に積んでいた雪が、ピタゴラスイッチを経て、こんな形になるなんて、まさにクリスマスの奇跡(軌跡かも?)。
タイトル回収も完璧です!
二言まとめ
最初はただの雪だったのに、紆余曲折を経て、まさかの形に仕上がっていく。
「どうなっちゃうんだろう!?」の連続がたまらなくおもしろい、奇跡的な絵本です。
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