著:岡本茂樹 出版:新潮社
お元気様です!
登る保育士ホイクライマーです。
今回は衝撃のタイトル『反省させると犯罪者になります』について、記事を書いていきます。
本書は、刑務所での更生支援をしている著者が、実体験の中から「反省させることの危険性」について書いたものです。
普段、当たり前のようにやっている「いけないことをした時に反省させる」行為。
本書によると、百害あって一利なしのようです。
この記事では、本書を保育士の目線から、子育てや教育に役立つエッセンスを抽出してお伝えしていきます。
タイトルに興味をひかれた方、叱り方に悩んでいる方、反省は大切なことだと思ている方には、特に面白くて、役立つ内容になっていますので、ぜひお楽しみください。
それでは見ていきましょう!
いけないことをしてしまった時、あなたは何を考えていますか?
まずはじめに、あなたはいけないことをしてしまった時、なにを考えているでしょう?
反省の気持ちでしょうか?
いえいえ、きっと、
「叱られるのやだな」
「どうにかならないかな?」
「あっちにもおかしいところあったよね?」
といった考えが頭に浮かんでいると思います。
相手の気持ちを考え、謝罪や反省が出てくる前に、自分本位な気持ちが出てくるのではないでしょうか?
もちろん、ぼくもそうです。
子どもがケガをしてしまった時など、「あの時、声をかけておけば」という思いが頭に浮かびます。
その時には、正直、子どもや保護者に申し訳ないという気持ちには至っていません。
そうです。
人間は反省をする前に、「後悔」をするのです。
そして、後悔をしっかりとして、気持ちの整理をつけた後に、
「あの時、声をかけなかったばかりに、痛い思いをさせちゃったね。ごめんね。」
と、初めて反省が出てくるのです。
反省する技術は上手くなり、心は抑圧されていく
では、反省する気持ちが出てくる前に、反省をさせ続けるとどうなるのでしょう?
それは、反省する技術が上手くなっていくのです。
具体的には、上手な反省文が書けるようになったり、上手に謝れるようになります。
だって、反省していることを伝えないと、許してもらえないのですから。
そして、「しっかりと反省する姿」を見て、反省させる側も「よく反省しているな」と満足して終わります。
場合によっては「この先、お前の頑張りをしっかり見ているぞ」とさらなるプレッシャーもかけていきます。
これが続くと、自分の本当の気持ちを出さ(せ)なくなってしまいます。
なぜなら、反省していないと見なされれば、反省するまでお説教が終わらないからです。
きっとみなさんも、正直な自分の気持ちを伝えたら「言い訳するんじゃない」と言われた経験があるのではないでしょうか?
こうして心は抑圧されていき、思ってもいない反省を繰り返すことになります。
これが続くと、人に頼ったり、弱みを見せられなくなっていきます。
果たして、この反省は再発防止につながるでしょうか?
繋がるはずがありません。
その問題が起きた、根本的な原因が解決されていないのですから。
相手の立場に立つ前に、自分の気持ちと向き合うことが必要
反省させる前にやることがあります。
それは、「後悔の気持ち」を受け止めつつ、原因や解決策を一緒に考えることです。
それをしてしまった時、どんな気持ちだったのか?
なぜそうなってしまったのか?
不平や不満が出てくることもあるでしょう。
でも、それを受け止めつつ、より深い原因を探っていきます。
重要なのは、この根本にある原因を解決すること。
人間関係の不安や、なにかのプレッシャー、勉強のストレスなど・・・。
その問題行動の背後には、根深い問題があるかもしれません。
保育園でもそうです。
家庭内の不和、行事のプレッシャー、発達の問題・・・。
そういった、子どもの困りごとが隠されているかもしれません。
それを解決せず、ただ反省させるだけでは、再発を防止することは出来ないのです。
自分の気持ちと向き合い、整理をすることで、初めて相手の立場を考えて、反省する気持ちが生まれてきます。
先に相手の立場に立たせ、反省させてはいけません。
問題行動は心の表現、SOSのサイン
こうしてみると、問題行動は心の表現だと言えるでしょう。
言い換えれば、SOSのサインです。
もし、小さな問題行動の時に、気持ちを受け止め、原因を解決できれば、その子の人生はいい方向に向かうでしょう。
発達や特性の問題で、困っていることに気付くことが出来れば、その子に合った支援に繋がるかもしれません。
問題行動は、そういったことに気付き、手を差し伸べるチャンスなのです。
ですが、安易に反省させて終わりにしてしまえば、心はさらに抑圧されていきます。
抑圧され続ければ、爆発する時が訪れます。
爆発が大きければ、犯罪行為となって現れることだってあります。
だからこそ、問題行動が小さなうちに、周囲の大人が気付いてあげなければいけないのです。
保育園での反省
では、保育園ではどうなのでしょう?
残念ながら、反省させる風潮はとても強いです。
他の子を叩いてしまった時に「痛かったって。ごめんさいでしょ?」
なにかを壊してしまった時に、「これじゃ、他の人が困るでしょ?どうするの?」
など、反省させる言葉はよく聞かれます。
ぼくも、「それ迷惑でしょ?」など、ただ反省させてしまうことがあります。
もちろん、悪いことをした時に、謝ることを教えるのは大切なことです。
ただ、この時に本人の気持ちを聞いているかが大切です。
叩いてしまった理由。
壊してしまった理由。
そこには本人なりの言い分があるはずです。
それを聞かずに反省させられたり、言っても否定されたら、子どもは「言っても無駄だ」と考えて、「素直」に謝るようになっていきます。
同時に、本当に思っていることを言ってはいけないと学んでしまうのです。
「立派なしつけ」は、抑圧を生みやすい
ただ、子どもを抑圧しようとして反省させている人は、ほとんどいないでしょう。
子どもが立派に育つように、自立できるようにと、子どものためを思ってやっていると思います。
しつけも同じで、「しっかりとした子ども」に育てようとしてやっていると思います。
ただ、「立派なしつけ」が抑圧を生む側面もあることに、気付いておかなければいけません。
立派なしつけでよくあがるのが、
- 我慢できること
- 一人で頑張ること
- 弱音を吐かないこと
- 人に迷惑をかけないこと
という4つ。
しかし、「我慢できること」は見方を変えれば「自分の気持ちを出さない」ことにもなります。
それは他の三つに繋がっていき、人を頼ることも出来なくなってしまいます。
「常に強くいなければならない」
そんな気持ちが、さらなる抑圧を生んでしまうのです。
大切なのは、「弱いところを見せても大丈夫」と思えること
心を過度に抑圧しないためには、素直な気持ちを外に出さなければなりません。
そのためには、まず一番身近にいる大人である親や先生が、否定的な気持ちも含めて、受け止める必要があります。
身近な大人に気持ちを伝えてこなかった人が、他人を信頼して弱いところをみせるのはとても難しいことです。
社会の中を、誰にも頼らず一人で生きていくことは、相当に困難なことでしょう。
自立して生きていくためには、多かれ少なかれ、誰かに頼ることが必要です。
そして、頼り、頼られることで信頼関係を作っていきます。
「弱いところを見せても大丈夫」と思えるように、子どもらしさを受け止めてあげてください。
「嫌なことがあった」
「自分のせいじゃないもん」
「だって・・・」
そういった、子どもの素直な気持ちを受け止めた上で、「じゃあ、どうしよう?」という話に繋げていってあげてください。
それが、結果的には本当の反省へ繋がっていくのですから。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、当たり前のようにやっている「反省させる」ということについて、本書の中から子育ての場で役立ちそうなトピックに注目して紹介していきました。
相手の気持ちを考えさせさせる前に、自分の気持ちと向き合う必要性に気付かされる一冊でした。
本書では、反省が生む負の連鎖に関して、刑務所での更生支援を中心にたくさんの例が紹介されていたり、いじめ問題などにも触れられています。
反省させ続けたことにより、最終的に犯罪者になってしまった実情がより詳しくわかる内容となっています。
また、子育てをする上で、気を付けたいことなども、より深く書かれていますので、記事を見て興味を持った方は、ぜひ一度読んでみることをおすすめします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
コメント