ミロとまほうのいし(4歳~)

絵本

作:マーカス・フィスター 訳:谷川俊太郎 出版:講談社

ネズミたちが幸せに暮らす島。

そこで一匹のネズミが、明るく輝く魔法の石を見つけます。

その石を巡り、島の未来が大きく変わっていくのです。

幸せな終わりか、悲しい終わり。

選ぶのはあなたです。

あらすじ

海の真ん中に島があった。

そこにはネズミのミロと、その仲間のネズミたちが幸せに暮らしていた。

夏の間、ミロたちは食べ物を集め、時折遊んだり、夜通し星を眺めながらおしゃべりをした。

でも、冬の嵐が来ると、ネズミたちは一日中じとじととした洞穴で丸くなり、温かい春を夢見るて過ごすのだった。

そんな嵐の過ぎたある日。

ミロが食べ物を探していると、岩の裂け目に不思議なものを見つけた。

それは見たこともない光る石だった。

ミロはその石を引っ張り出し、自分の洞穴へ持ち帰った。

その石は、暗くなるほど輝きを増し、ほんわかと温かかった。

ミロがその石を見ていると、仲間のネズミたちがすぐに集まってきた。

そして、みな石を欲しがり、ミロに石のあったところへ連れて行けとせがんだ。

そんな姿を見て、賢い年寄りのバルタザールが言った。

「石は島のもので、何か島のものを取ったら、お返しをしなければならない」ということを。

その話を聞き、ネズミたちの取った行動とは?

結末は「幸せな終わり」と「悲しい終わり」に分岐します。

どちらの結末を迎えるかは、あなたが選ぶのです。

『ミロとまほうのいし』の素敵なところ

  • ホログラムが綺麗な魔法の石
  • 物語の結末を自分で選べる面白さ
  • 二つの結末があるからこそ、動かされる感情

ホログラムが綺麗な魔法の石

この絵本を見て、まず目をくぎ付けにされるのが、魔法の石の美しさです。

光を反射して、本当に金色に輝いている魔法の石。

角度によって色が変わるホログラムにもなっています。

見ているだけでキラキラと美しく、物語が始まる前から魅力的です。

まるで、本物の宝石を見ているようにうっとりとしてしまいます。

子どもたちも、

「本当の宝石みたい!」

「キラキラ光ってるよ!」

「いいな~、ほしいな~」

と、すっかり魔法の石のとりこです。

この視覚的な特別さ、美しさがあるからこそ、物語のネズミの気持ちがよくわかり、没入感へもつながるのでしょう。

物語の結末を自分で選べる面白さ

でも、その物語はハッピーエンドで終わるとは限りません。

この絵本には二つの結末が用意されているのです。

途中までは普通の絵本と一緒で、ページをめくり進んでいきます。

しかし、途中からページの上半分と、下半分が別々にめくれるようになるのです。

上半分をめくっていくと、幸せな終わりに向かいます。

下半分をめくっていくと、悲しい終わりを迎えます。

こうして、どちらを読み進めていくか、自分で選択できるのです。

自分の選択で、ネズミたちの運命が決まってしまう。

そんな重大な仕掛けも、この絵本の面白くて素敵なところです。

二つの結末があるからこそ、動かされる感情

また、結末が二つあるというのは、見ている人の心の動きにも大きな影響を与えます。

結末が一つしかない絵本なら、その結末を受け入れるだけです。

けれど、もう一つの結末があることで、違う行動を取ったらどんなことが起こるのか知ることが出来ます。

それを知ると、

「あー、そんな欲張ったら・・・」

「ちゃんと、お返ししたら、空っぽにならなかったね」

など、どうやったから「幸せな(悲しい)終わり」になったのかを、深く考えることに繋がります。

比べることが出来るからこそ、色々な角度から一つの物語を考えることができるのです。

特別な仕掛けならではの気付きを与えてくれるのも、この絵本の素敵なところです。

二言まとめ

本当に輝く魔法の石や、物語が分岐するなど、楽しい仕掛けが盛りだくさん。

その仕掛け全てが、見ている人をより深く、物語の世界に入り込ませてくれる絵本です。

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