マジシャンミロのふしぎなぼうし(4歳~)

絵本

作:ジョン・エイジ― 訳:石崎洋司 出版:講談社

なにをやっても上手くいかないマジシャンミロ。

ある日、帽子からクマを出すマジックを手に入れました。

これはそのマジックを手に入れるまでと、手に入れた後を描いた物語です。

あらすじ

ミロはマジシャンです。

天才ミロのマジックショーが始まります。

でも、ミロはちっとも天才なんかじゃありません。

どんなマジックをしてもヘマばかりです。

とうとう支配人も怒り出し、「帽子からウサギを出せなければクビだ」と言われてしまいました。

次の朝、ミロはウサギを捕まえに、森へと出かけました。

しかし、捕まったのはクマでした。

ミロはクマに詰め寄られ、帽子のマジックをするために、ウサギが必要なことを話しました。

すると、クマが帽子のマジックをしてくれると言います。

見ていると、クマは小さな帽子に飛び込んで、中に入ってしまいました。

驚いたミロは、どうやったのかクマに聞きました。

クマは「おれの骨はゴムで出来ている!」って思えばいいのだという。

聞けば、この秘訣はウサギに教えてもらったとのこと。

ミロはクマと打ち合わせをし、このまま帽子に入っていてもらい、口笛を吹いたら帽子から出てくることに決めました。

帰りの電車の中で、ミロはうっとりしていました。

しかし、劇場についてみると、帽子の中にクマがいません。

電車の中で、他の帽子と取り違えてしまったのです。

ミロは大慌てで、駅へかけ戻りました。

ですが、本物の帽子はどこにも見当たりません。

ちょうどその頃、あるレストランでお客さんがウェイターに口笛を吹きました。

と、その合図に合わせ、テーブルの上の帽子からクマが飛び出してきたから大変です。

クマは周りに、ミロもお客さんもいないことに気付きました。

「まずい」と思い、ミロの帽子を掴むと、クマはひとまず逃げ出しました。

「クマが逃げ出した」と、街は大騒ぎです。

秘訣を使い隠れながら、クマはマジックショーの会場を目指し進んでいきました。

一方、劇場ではミロがうなだれていました。

しかし、出番はやってきてしまいます。

ミロがそっとステージをのぞくと・・・。

なんと、一番前の席にミロの帽子が置いてあります。

その帽子を取ってもらうと、中にはちゃんとクマがいました。

いよいよマジックショーの始まりです。

帽子からクマが出ては入ってを繰り返すミロのマジックは、大盛況に終わりました。

ミロのマジックショーは大人気。

連日満員となりました。

ところがある日のこと、クマはぐったりしてしまいました。

なにしろ、毎日たくさんの帽子に出たり入ったりで、もうへとへとなのです。

ミロはクマを森へ連れていきました。

でも、クマがいなくなってしまっては、あのマジックは出来ません。

一体どうするというのでしょうか?

『マジシャンミロのふしぎなぼうし』の素敵なところ

  • ものすごく気のいいすごいクマ
  • お約束だからこそ面白い期待感
  • マジシャンらしい「あっ!」と驚く結末

ものすごく気のいいすごいクマ

この絵本の、なにより面白いところは、ウサギの代わりにクマが捕まってしまったところでしょう。

当然のように、ニンジンの罠にかかるクマ。

ミロより大きく、顔も怖く、爪も鋭いクマですが、驚くほど協力的です。

ちゃんと話も聞いてくれ、マジックショーに出てくれるとまで言ってきます。

さらにすごいのは、骨をゴムに出来る秘訣を知っていることです。

とっても自然に、クマが帽子のマジックをしてくれる流れに、子どもたちも、

「クマ、いいやつだな」

「帽子に入っちゃった!」

と、その穏やかさと特技の凄さの両方に驚いていました。

また、帽子を取り違え、レストランで出てきてしまった時の反応も魅力的です。

口笛に合わせ得意げに「ジャーン!」と登場するクマ。

すかさず逃げ出すクマ。

でも、ミロを裏切らず、ちゃんとマジックショーの会場を目指すクマ。

その可愛さと、人情味の厚さにますますクマが好きになってしまいます。

きっと、この魅力があるからこそ、再会でき、マジックショーが成功した時の感動に繋がるのでしょう。

お約束だからこそ面白い期待感

同時に、このハプニングの数々も、この絵本の大きな魅力です。

散りばめられるたくさんのお約束。

電車の中では、隣に座る人が、明らかに間違えそうな帽子を持っています。

「間違えそう・・・」と思っていたら、しっかりと取り違えてしまいます。

レストランでは、帽子をテーブルに置いて、座っています。

「口笛を吹きそう・・・」と思っていたら、きっちり口笛を吹きクマが出てきます。

もちろん辺りは大騒ぎ。

この、見ている人の期待感をことごとく叶えてくれる展開。

これが面白くないはずがありません。

「あーやっぱり!」

と、みんなが思う面白さ。

この絵本の物凄く楽しくて素敵なところです。

マジシャンらしい「あっ!」と驚く結末

さて、この絵本には驚きの結末が待っています。

クマを森に返したミロ。

その後どうするのか?

そこがこの絵本の一番面白いところなのです。

実はこれまでのことは、この結末のための、もの凄い長い前フリだったのではないかとさえ思える最後。

子どもたちもみんな、

「えー!?」

で、終わりました。

この全体の流れこそ、この絵本のもっとも素敵なところだと思います。

二言まとめ

ミロとクマのノンストップドタバタ劇に、驚きと笑いが止まらない。

予想外の結末に、さらなる驚きを巻き起こしてくれる絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました