作:アンドレ・ダーハン 訳:きたやまようこ 出版:講談社
静かな夜。
野ネズミの女の子は、お月様に光のかけらをお願いしようと思いました。。
うす暗い巣穴を照らすためです。
手紙を紙飛行機にしてお月様に飛ばします。
でも、受け取ったのは・・・。
あらすじ
静かな夜。
野ネズミの女の子マヤは、穴の中にある自分の部屋でぼんやりと考えていました。
「わたしの部屋に、ちょっとでいいから明るい光があればいいな」と。
そんなことを考えながら、マヤが穴の外に出てみると、一面の雪が月の光に照らされてキラキラと輝いていました。
それを見て、マヤはお月様に向かって「お月様の光の小さなかけらを、わけてください!」と叫びました。
ですが、マヤの声は小さすぎて、お月様には届きませんでした。
そこで、マヤは手紙を書くことにしました。
マヤはその手紙を紙飛行機にし、お月様へ飛ばしました。
けれど、手紙はお月様ではなく、サンタクロースのところに届いてしまいました。
手紙を開けたサンタクロースは、自分宛ではなかったので、どうしたものかと悩みました。
それでも、マヤのために何とかしたいと思い、丸いツリー飾りを箱に入れ、トナカイとともに空へ飛び立ちました。
お月様のところへ行き事情を話すと、お月様はにこにこしながら光のかけらをわけてくれました。
欠片をツリー飾りに詰め込むと、サンタクロースはマヤの元へ急ぎました。
ところが、マヤの家まで来ると、サンタクロースは困ってしまいました。
入り口が小さすぎて、入ることが出来ないのです。
せっかく用意したプレゼント。
マヤに届けることは出来るのでしょうか?
『メリークリスマスおつきさま』の素敵なところ
- マヤの謙虚で応援したくなる姿
- ハラハラする予想外の連続
- 空のみんなが力を合わせたクリスマスプレゼント
マヤの謙虚で応援したくなる姿
この絵本の、まず素敵だなと思うところは、主人公であるマヤです。
このマヤが、ものすごくいい子なのです。
部屋に明かりが欲しいと思う時には「ほんのちょっとでいいから」と欲張りません。
お月様にお願いする時も「小さなかけらを一つだけわけてください。わたしが持っているものを全部差し上げますから!」と、貰おうとするだけじゃないのです。
お月様への手紙にも、お月様への日頃の感謝が詰まっていて、マヤの謙虚さや優しさがとても伝わってくるものになっています。
そんなマヤだからこそ、願いが叶って欲しいと心から思い応援できるのです。
マヤの優しく心温まる姿は、この絵本のとても大きな魅力だと思います。
ハラハラする予想外の連続
さて、とても温かで優しいこの絵本ですが、予想外なこと続きなのも面白いところです。
お月様へ届くと思っていた手紙は、まかさのサンタクロースに届いてしまいます。
子どもたちも、
「サンタさんに届いちゃったよ!?」
「お月様に飛ばしたのに!」
と、ビックリ仰天。
お月様に願いが伝わるかハラハラドキドキです。
でも、そこは優しいサンタクロース。
きちんとお月様に伝え、光のかけらももらってくれます
ほっと一安心・・・と思いきや、野ネズミの家だけあり、入り口が狭すぎるという事件が起こります。
まさかの展開に、子どもたちはまたハラハラドキドキ。
「せっかくプレゼント持って来たのに」
「お月様がくれたのに」
と、サンタクロースと一緒に困ってしまいます。
こんな風に、最初から最後まで一筋縄では願いが叶わないのも面白く、素敵なところなのです。
空のみんなが力を合わせたクリスマスプレゼント
そんな紆余曲折の中で、空にいるみんなが力を合わせ、プレゼントを届けようとしてくれます。
手紙を偶然受け取ってしまったサンタクロース。
事情を聞いて、快く協力してくれるお月様。
など、みんなの優しさが繋がらなければ、最後の場面には辿り着かなかったでしょう。
偶然と優しさが繋がった最後の場面。
空のみんなで力を合わせて届けてくれたプレゼント。
そして、それを見たマヤの反応。
その全てが、この絵本の一番素敵なところです。
二言まとめ
心優しいマヤの願いが、空のみんなの優しさにより繋がれていく。
その紆余曲折が楽しくて、心をぽっと温かくしてくれる、クリスマス絵本です。
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