きつねうどんたぬきうどん(3歳~)

絵本

作:古内ヨシ 出版:大日本図書

きつねうどんとたぬきうどん。

どちらの方がおいしいかで、タヌキとキツネが大げんか。

それを見かねたうどん屋の店主は、ある提案をするのでした。

あらすじ

あるところに、きつねうどんが大好きなキツネくんと、たぬきうどんが大好きなタヌキくんがいました。

2人は、うどん屋さんにやってくると、人間に化けてお店へ入っていきました。

それぞれ大好きなきつねうどんとたぬきうどんを頼みます。

その美味しいこと。

おつゆまで、全て飲み干してしまうほどでした。

2人は葉っぱのお金と、どんぐりのお金を払うと帰っていきました。

うどん屋のおじいさんは、2人の正体に気が付きながらも笑顔で「またおいで」と言ってくれました。

それから、タヌキくんとキツネくんは毎日うどん屋さんにやってきました。

ある日、タヌキくんがおじいさんに聞きました。

「一番好きなうどんはなあに?」

それを聞いたキツネくんが、「きつねうどんに決まってる」と言ったから大変です。

タヌキくんも「たぬきうどんが一番だ」と言い出し、大げんかになってしまいました。

それを見ていたおじいさんは止めに入り、2人をうどん作りに誘いました。

2人はけんかをやめ、大喜びでうどんを作り始めます。

麵を作り、おつゆを作り・・・。

とうとう2人の作ったたぬきうどんと、きつねうどんが完成しました。

ですが、タヌキくんの前にはきつねうどん。

キツネくんの前にはたぬきうどん。

いつもと注文が反対です。

2人は文句を言いますが、おじいさんに言われそのまま食べてみると・・・。

『きつねうどんたぬきうどん』の素敵なところ

  • 本物のタヌキとキツネが作るうどん
  • 2人の正体を知っても、優しく見守るおじいさん
  • とてもうどんを美味しそうに食べる2人

本物のタヌキとキツネが作るうどん

この絵本の一番おもしろいところは、たぬきうどんときつねうどんを、本当のタヌキとキツネが作るところでしょう。

名前の繋がりから、本当に作ることになるというおもしろさは、シンプルながら子どもの心をしっかりとつかみます。

「えー!?本当に作ることになっちゃったよ!」

「本物のタヌキうどんだ!」

「ちゃんと作れるかな~?」

と、2人がうどんを作る姿にすっかり夢中です。

うどんを作る姿が、にこにこととても楽しそうなのも素敵なところ。

けんかをしていた怒り顔はどこへやら。

楽しくて仕方がないと言った様子で、力を合わせて作ります。

そのうどんの美味しそうなこと。

楽しい気持ちにはなるし、うどんの作り方もわかるしでまさに一石二鳥です。

2人の正体を知っても、優しく見守るおじいさん

そんな楽しいうどん作りの機会を作ってくれたのは、うどん屋の優しいおじいさんです。

このおじいさんの優しさと温かさも、この絵本の素敵なところ。

タヌキくんとキツネくんが、初めて店に来た時から、その正体に気付いていたおじいさん。

でも、それを叱ることなく、「またおいで」と言ってくれる器の大きさがすごい。

その時の笑顔もとても温かく、孫を見守るかの様で素敵です。

毎日くる2人にも、うどんを出してあげ、すっかり仲良くなった3人。

ある日起こった、タヌキくんとキツネくんのけんかの止め方も、うどんをより好きになるという、うどん屋さんならではの方法がすごい。

タヌキくんも、キツネくんも、おじいさんも、うどんも、みんな笑顔で幸せになれたのは、おじいさんの知恵と優しさがあったからこそなのでしょう。

笑顔も心意気も、とても素敵なおじいさんです。

とてもうどんを美味しそうに食べる2人

さて、この絵本で最初から最後まで一貫しているのは、うどんがおいしそうなところです。

中でも、タヌキくんとキツネくんが、うどんを食べるところがたまりません。

うどんをすする時の決まり文句、

「しこしこ、つるつる、もちもち、ぷりぷり」

が、本当に美味しそう。

うどんの食感が、口の中に広がってきてしまいます。

そして、飲み干すおつゆ・・・。

読んでいたらすぐにでも、うどんを食べに行きたくなります。

また、食べている時の表情も最高で、絶対に美味しいのが伝わってくるのです。

純粋に「食べたい!」と思わせるところも、この絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

たぬきうどんときつねうどんを、本当のタヌキとキツネが作るというシチュエーションがおもしろい。

読めば、思い切りうどんをすすり、おつゆを飲み干したくなる美味しそうな絵本です。

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