文:中川ひろたか 絵:高畠純 出版:絵本館
意味が分かると面白いだじゃれ。
言葉のおもしろさが詰った言葉遊びです。
そんなだじゃれの中で、動物だけを集めたらだじゃれ動物園が出来ました。
あらすじ
ペンギンがペンキを塗っている。
「ペンギン塗りたて」
死神を見たゾウ。
「ぞうっとするぞう」
パンを見たパンダが一言。
「パンだ!」
カレーを食べたライオンが一言。
「かライオーン」
まだまだ出てくる動物だじゃれ。
『だじゃれどうぶつえん』の素敵なところ
- 少し難しいからこそ、意味が分かるとおもしろい
- 普通にしゃべるように読むのがおススメ
- だじゃれの情景を見事に表した絵
少し難しいからこそ、意味が分かるとおもしろい
この絵本のだじゃれは、少し難しいです。
なぜなら、日常的に使う言葉にだじゃれをミックスしているから。
普段のだじゃれは「布団がふっとんだ」「イカがいかった」など、だじゃれのために生み出された文章が多いと思います。
これはとてもわかりやすくて、すぐにだじゃれとわかります。
ですが、この絵本のだじゃれは、文章本来の意味がわかった上で、そこに動物の名前がかかっているからおもしろいという、より高度な文章理解が求められます。
そのため、文章力や語彙力がある程度ないと、本当のおもしろさはわかりません。
しかし、そのおもしろさがわかった時の、楽しさや気持ちよさはひとしおで、思わず「なるほど~!」と声を上げてしまうほど。
構造が複雑だからこそ、わかった時には知的好奇心が思い切り満たされるのです。
普通のだじゃれに慣れてきたら、挑戦したい一冊です。
普通にしゃべるように読むのがおススメ
さて、そんなだじゃれ絵本を、説明しながら読むのは無粋というもの。
ぼくとしては、わかるかわからないかは子どもに任せて、普通の文章のように読むのをおススメします。
例えば、「もう、ゴリラ」は「もう、5時だ」
「コアラ!」は「こら!」
「ウサギにしつれい!」は「お先にしつれい!」
と、いったように、イントネーションを普通の文章と同じにして読むのです。
すると、わかる子は、
「ゴリラと5時だか!」
「コアラがこら!になってる」
「ウサギとお先ってことね!」
と、自分で気づき、その繋がりを見つけ楽しみます。
この絵本に関しては、自分でおもしろさに気付けるようになってから読むのをおススメします。
だじゃれの情景を見事に表した絵
ただ、このだじゃれのおもしろさは、文章だけでは完結しません。
その情景を見事に表している絵があってこそだと思います。
日頃の文章の中に、動物が入ったらどんなことが起こるのか?
そこに広がるのは、奇妙で面白い世界です。
スーツで仕事をするゴリラが「もう、ゴリラ(5時か)」と時計を見る。
パン屋さんのパンダがパンを見て「パンだ!」と叫ぶ。
などなど、文章だけでもおもしろいのに、絵になったらもっとおもしろいから大変です。
ちょっといつもの文章を変えるだけで、全然違う世界になってしまうおもしろさが味わえるのも、この絵本の大きな魅力です。
二言まとめ
少し難しいだじゃれだからこそ、意味がわかった時のおもしろさと気持ちよさがたまらない。
少し言葉を変えただけで、無限におもしろさが広がって行く、言葉遊びの楽しさと不思議さが詰った絵本です。
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