お元気様です!
登る保育士ホイクライマーです。
今回は、簡単そうで難しい「主体性」について、考えていこうと思います。
保育・教育・子育ての世界で、昔から言われ続けている主体性。
「主体性を育てることが大切」
と、よくいわれますが、説明したり実践するとなると、なんだかふわっとしてしまいます。
それもそのはず、これってものすごく複雑な概念なのです。
そんな大切だけど複雑な「主体性」をひも解き、その正体や育て方を考えていこうと思います。
- 「主体性ってどうやって育てればいいんだろう?」
- 「主体的な保育が出来ているかな?」
- 「主体性とは・・・(迷子)」
という人には、特に参考になると思います。
では、いってみましょう!
主体性ってなんだ?
主体性という言葉を説明するのは簡単です。
それは、「自分で考え、責任をもって行動すること」です。
言い換えると、「これがやりたいから、どうすればできるか考え、実行する」ということです。
混同されがちなものに自主性があります。
こちらは、「自分から進んで動くこと」です。
いうも言われていることなどを、言われる前にやるのは自主性です。
ここを厳密に区別しないと、主体性が育っていると思っていたら自主性だったということもあり得るので注意しましょう。
要するに、主体性とは「自分で考え出し、選択する力」と言えるでしょう。
ここが重要で、興味関心や課題を、「自分から新たに生み出す力」なのです。
主体性の難しさ
しかし、ここで主体性の難しさが出てきます。
それは、どこまでが主体的なのかということです。
例えば、空き箱などの廃材を使い、イメージのままに色々なものを作って楽しんでいるのは、主体的な行動でしょう。
では、作り方が決まっている制作の中で、自分で考えたこだわりの絵をそこに描いた場合はどうでしょう?
これは主体的な行動と言っていいでしょうか?
保育士主導で練習している劇の中で、子どもが自分からアドリブのセリフをいれるのはどうでしょう?
こんな風に、100%主体的なものもあれば、部分的に主体的なこともあるのが複雑なところなのです。
さらに言うと、年齢が低いほど、主体的な行動の幅が狭いです。
それは経験や引き出しの幅が狭いからでしょう。
そういう意味では、小さい時に大人主導で行った遊びの経験が、後の主体性へと繋がってもいるのです。
主体性は総合力です。
だからこそ、育てるのが難しい力でもあるのです。
まずは、考える力を育てよう
それでは、どうしたら主体性を育てられるのでしょうか?
キーワードは「考える力」です。
自主性にしても、主体性にしても、「自分で考え動く」ことが必要です。
そのためには、日頃から考える癖をつける必要があります。
そこでおススメなのは「質問」です。
例えば、「○○しましょう」という指示を、「次はなにするんだっけ?」と質問に変えるだけで、考える頻度は格段に増えるでしょう。
これは他の場面にも使えます。
けんかした時は「なんで、けんかになっちゃったの?(おもちゃ取っちゃったの?)」
失敗した時は「なんで、失敗しちゃったんだと思う?」
といったように、自分で考える機会になるのです。
もちろん、年齢が低いほど質問は簡単にする必要があります。
そうして、理解力に応じて、子どもが自分で考える範囲を広げていきましょう。
この考える癖は、一朝一夕では身につきません。
だからこそ、日々の関わりの中で積み重ねていくしかないのです。
遊びに自由を組み込もう
考える力と同じくらい大切なのは「生み出す力」です。
では、生み出すために必要なのものはなんでしょう?
それは自由です。
- 好きなことを好きなようにできる自由な時間
- 好きなものを好きなように使える自由な選択肢
- 自分で選んだことを大人に止められない自由な決定権
その中でも、特にこの三つが重要だと考えています。
重要ではありますが、自由にするだけでは使いこなせないのも、主体性の難しいところです。
なぜなら、自由になればなるほど、主体性がないと何をしていいのかわからなくなるからです。
なので、主体性の育ちに合わせて開放していくのがいいと思います。
その最初のステップとして、遊びに自由を組み込んでみましょう。
- 制作など基本の流れは決まっているけれど、一部好きなようにできる自由を入れる。
- 自由におもちゃを選び、遊べる時間を作る。
- 自由にしたものは無理やり止めたりしない。
こうして、子どもの主体性を見つつ、自由の範囲を広げていきましょう。
最終的には子どもと考える
こうして、しっかりと主体性が育ってきたら、子どもに主導権を渡していきます。
やりたいことがある時には、子どもたちに相談します。
すると、子どもたちの意見から発展し、こちらがやりたかったことなのに、子ども主体の活動になったりします。
また、この段階だと、子どもたちからたりたいことがたくさん出てきます。
それをどうしたら実現できるか話し合う場を作るなど、サポートに徹すると、子どもたちが自分たちで活動を作り出していきます。
あとは、おもしろそうなものを、さり気なく置いておくのもおススメです。
- 壁に太陽系の惑星を貼っておく。
- 使い方がわからないおもちゃを置いてみる。
- 大きい段ボールを置いておく。
など、しておくと、自分たちで使い方を考えたり、話し合ったり、調べたりし始めるのでおもしろい。
こうして、たまに興味の起爆剤を放り込むと、より主体性や興味の幅が広がっていくのです。
ぼくが理想にしている保育実践
最後にぼくが主体性迷子になっていた時、「はっ!」とさせられた保育実践を紹介して終わろうと思います。
それは、子どもが万華鏡を作るというもの。
ですが、そこには保育士からの指導はありません。
朝、子どもたちが登園すると、保育室に手作りの万華鏡が置いてあります。
子どもたちは、それを興味深く見たり、遊んだりしています。
その万華鏡を分解してもいいことがわかると、早速分解して構造を調べます。
すると、中に使われている部品は工作紙や、アルミホイルなど身近なものばかり。
そこで、子どもたちは材料を集め作ってみることにしたのです。
職員室や調理室など、その材料がもらえそうなところへ声をかけ、材料を集めます。
そして、分解した万華鏡を見ながら、自分たちだけで万華鏡を完成させるのです。
ここには実践そのものの、設定の仕方のすごさももちろんあります。
ですが、なによりすごいのは、子どもたちがここまで主体的に動ける思考力を身につけていること。
この実践をするためには、日頃から主体性が高められていること、そして、非常に多くの経験値が必要不可欠なのです。
いまだに実現できていませんが、常にこの保育実践が主体的な保育のモデルとなっています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、「主体性」を掘り下げていきました。
一言で主体性と言っても、非常に幅広い概念だということがわかっていただけたと思います。
「主体性を育てましょう」というのは簡単です。
しかし、それは長い時間をかけ、日々の様々な経験の積み重ねから生まれていくものです。
だからこそ、保育・教育・子育てをする人は、常に意識しておかなければいけないものでもあります。
「子どもが考えて行動する時間を作れているか?」
を、どの年齢の子に対しても、振り返り続ける必要はありそうです。
その積み重ねが、
「自分で考え、責任をもって行動する」
という、生きる上で非常に重要な「主体性」へと繋がっていくのですから。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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