作:マーガレット・ワイズ・ブラウン 絵:レナード・ワイスガード 訳:わたなべしげお
出版:童話館出版
一人ぼっちのウサギと一つの卵。
卵を割ろうとするウサギと、卵から生まれてくるアヒルのすれ違いが、かわいくておもしろい。
2人の出会いにほっこりとする絵本です。
あらすじ
昔あるところに、一匹の小さいオスのウサギがいました。
ウサギは一人ぼっちでした。
ある日、ウサギは卵を見つけました。
中で何か動いている音がします。
ウサギは卵の中身を想像しました。
小さな男の子?
他のウサギ?
もしかしたらゾウ?
ウサギは、押したり、上に乗ったり、木の実をぶつけたり・・・。
卵を割ってみようとしましたが、全然割れません。
そのうち卵から、「コツッコツッコツッ」という音が。
ウサギは耳をそばだてますが、また卵は動かなくなりました。
そのうちにウサギは丸くなり、眠り込んでしまいました。
そうしたら、卵にひびが入り、中からアヒルが顔を出しました。
アヒルはとなりで眠るウサギを見て、「こりゃなんだい?」と思いました。
そして、卵の中で一人ぼっちだったことを思い出し、ウサギを起こすことに決めました。
アヒルは、押したり、上に乗ったり、石の欠片をぶつけたり・・・。
ウサギは目を覚ましてくれるのでしょうか?
目を覚ましてアヒルを見たら、一体何というでしょう?
『きんのたまごのほん』の素敵なところ
- お互いに一人ぼっちだった2人の気持ち
- 2人とも同じ行動をする繰り返し
- 微笑ましすぎる結末
お互いに一人ぼっちだった2人の気持ち
この絵本のとても素敵なところは、境遇の違う一人ぼっちだったもの同士が、出会うところにあるでしょう。
一人ぼっちで友だちのいないウサギ。
卵の中でずっと一人の世界を生きていたアヒル。
卵から何かが生まれたら、一人ぼっちじゃなくなると思ったウサギ。
ずっと一人の世界だと思ったいた卵の中から生まれたら、となりに他者がいたアヒル。
境遇や、細かな心の動きは違えども、心から他者を求めているところは同じです。
そんな2人が出会うというだけで、とても素敵な物語になっています。
2人とも同じ行動をする繰り返し
ですが、この絵本が素敵なのはそれだけではありません。
2人が出会うまでのすれ違いがおもしろいのです。
卵を見つけたウサギは、卵を割ろうと色々なことを試します。
押したり、上に乗ったりと。
でも、割れなくて寝てしまいます。
だけど、寝たとたんに今度は卵が割れて中からアヒルが。
アヒル出てきてウサギと出会えたのに、ウサギは起きていなくて結局一人ぼっちのまま。
そこでアヒルは眠ったウサギを起こそうと行動に出ます。
その行動が、ウサギが卵にしたのとまったく同じ。
まるで、さっきまでのウサギを見ているようです。
子どもたちも、
「ウサギさんと同じことしてるよ!」
「2人とも似てるね~」
と、その姿を微笑ましく見守ります。
なんだか、双子の兄弟でも見ているみたいなのです。
このかわいい繰り返しも、この絵本のおもしろくて素敵なところです。
微笑ましすぎる結末
さて、そんなかわいい2人の最後の結末は、とても微笑ましいものでした。
一人ぼっちだったもの同士の、最後の結末。
子どもたちも、
「よかった~」
「かわいいー!」
「仲良しだね!」
と、みんなほっこり。
みんなの心を温めてくれる、微笑ましすぎる結末もとても素敵なところです。
二言まとめ
小さなうさぎと小さなアヒルの、似た者同士な姿がとてもかわいい。
誰かと一緒にいる温かさを心から感じさせてくれる、ほっこり絵本です。
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