ロージーとちびっこかめさん(4歳~)

絵本

文:マーガレット・ワイルド 絵:ロン・ブルックス 訳:今村葦子 出版:あすなろ書房

ウサギのロージーに、弟ができました。

産まれるのを楽しみにしていたロージー。

ですが、産まれてからは、弟を避けるようになりました。

だって、あまりに小さくて、怖いから・・・。

あらすじ

ウサギのロージーは、弟が産まれてくるのが待ちきれませんでした。

ですが、弟のボビーはとても早く産まれ、身体もとても小さかったのです。

重さは玉ねぎくらいしかありません。

そんな、息もしていないように見えるほど小さなボビーを、まじまじと見たロージーは怖くなってしまいました。

お母さんが「抱っこしてみる?」と言っても、断りどこかへ行ってしまいました。

日が過ぎて、ボビーはジャガイモくらいの重さになっていました。

今日は、ボビーをうばぐるまに乗せて、散歩をしています。

お母さんが「うばぐるまを押してみる?」と言いましたが、ロージーは断り、ちょうちょを追いかけて行ってしまいました。

ある朝、ボビーはカブラくらいの重さになりました。

でも、ロージーには、ボビーが病気のように思われ、避け続けていました。

その日、遅くなってから、ロージーは父さんとブラックベリーつみに行きました。

そこで、父さんがロージーに聞きました。

ボビーが嫌いなのかと。

ロージーは父さんに、ボビーが好きなこと。

でも、あんまりちっちゃくて怖いことを伝えました。

すると、父さんはある話をしてくれました。

仲良しなウサギとカメのお話です・・・。

『ロージーとちびっこかめさん』の素敵なところ

  • 赤ちゃんを怖いと思う素直な気持ち
  • 少しずつ大きくなって赤ちゃんの様子とわかりやすい例え
  • ロージーの不安を解きほぐしてくれる父さんのおはなし

赤ちゃんを怖いと思う素直な気持ち

この絵本のとても素敵なところは、赤ちゃんを怖いと思う気持ちへ、寄り添ってくれるところです。

普段は赤ちゃんのことを「怖い」とは中々言えません。

「赤ちゃんはかわいいもの」という無言圧力もあります。

でも、実際には「怖い」と思っている子は、けっこういるのではないでしょうか?

触ったら壊れてしまいそうな感じ。

別の生き物のような姿。

どう接したらいいのかわからなさ。

そんな、得体のしれない怖さに、ロージーの姿を通して寄り添ってくれるのです。

「怖い」って思うのが自分だけじゃないこと。

それは悪いことじゃないんだということに、安心感や勇気をもらえることでしょう。

少しずつ大きくなって赤ちゃんの様子とわかりやすい例え

そんな、小さな赤ちゃんも、少しずつ大きくなっていきます。

その様子が、とても丁寧に描かれているのも、この絵本の素敵なところ。

少しずつ体重が増え、身体が大きくなっていく様子を見せてくれます。

その表現方法もおもしろく、野菜に例えて、重さを伝えてくれます。

玉ねぎ→ジャガイモ→カブラ→カリフラワー。

と、子どももどれくらいずつ大きくなっているかが、感覚的にわかるのです。

この少しずつ大きくなっていく経過と、重さの感覚は最後の場面で、とても重要になってきます。

ロージーの不安を解きほぐしてくれる父さんのおはなし

さて、ロージーの様子を見て、父さんがロージーの気持ちを確かめます。

そこで、諭したり説明するのではなく、ロージーが自分で考え気付くように伝えていくのも、この絵本の本当に素敵なところです。

そのために、父さんはカメの話を始めます。

その話の中では、赤ちゃんは少しも出てきません。

ですが、ボビーのことも含めた、物事の本質への気付きがあります。

その本質に気付いたことで、ボビーのことも肯定的に見ることが出来るようになるのです。

きっと、諭されていたら、ここまで納得感を持ってボビーと向き合えなかったでしょう。

カメの話を通して、自分で考え気付いたからこそ、しっかりと自分の気持ちもボビーのことも受け入れられたのだと思います。

二言まとめ

ロージーの、赤ちゃんに対する不安や怖さ、それを受け止める姿が丁寧に描かれる。

普段は中々口にできない、赤ちゃんへの「怖い」という感情に寄り添ってくれる絵本です。

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