みつけたよ、ぼくだけのほし(4歳~)

絵本

作:オリヴァー・ジェファーズ 訳:三辺律子 出版:にいるぶっくす

自分だけの星に憧れる男の子。

ついに、星を探しに出かけます。

色々な方法を考えますが、どれも上手くいきません。

そんな中、ついに見つけたと思った星は・・・。

あらすじ

あるところに、星が大好きな男の子がいました。

男の子は毎晩、窓から星を眺めては、「ぼくだけの星があったらなあ」と思うのでした。

そして、星と友だちになった時のことを考えていました。

男の子は、星を捕まえられるかどうかやってみることにしました。

そのために早起きをすることに。

なぜなら、星は一晩中輝いているから、捕まえるなら疲れている朝がいいと思ったからです。

男の子は次の日、お日さまが昇ると出発しました。

ところが、星は一つも見えません。

そこで、待つことにしました。

昼が過ぎ、夕方が過ぎ、陽が沈むころ。

ついに男の子は、空に浮かぶ星を見つけました。

飛び上がって捕まえようとしましたが届きません。

一番高い木に登っても届きません。

浮き輪を投げ縄にしたら?

ロケットで飛んでいったら?

カモメに頼んで連れていってもらったら?

しかし、どれも上手くいきませんでした。

男の子はがっかりしました。

ですが、その時、海の上に浮かぶ星を見つけたのです。

男の子は、星をすくいあげようとしました。

けれども、手を伸ばしてつかもうとすると、指の間をすり抜けて、流れて行ってしまいます。

男の子は悲しくなりながら、家の方へゆっくりと歩いていきます。

その時・・・。

『みつけたよ、ぼくだけのほし』の素敵なところ

  • 夢を追いかける現実的な物語
  • 男の子の豊かな発想力と純粋さ
  • 色々な想像がふくらむ最後の場面

夢を追いかける現実的な物語

この絵本は、星を捕まえに行く物語です。

ですが、魔法も奇跡も起こりません。

とっても現実的なのです。

木に登っても、星のはもちろん手が届きません。

浮き輪を使おうとしますが、ボート用の浮き輪は重すぎて投げられません。

ロケットなんて持っていないし、カモメにも断られます。

水面に見つけた星は、もちろん映っているだけ。

こんな風に、「何か起こるかも!」と思っても、なんにも起こらないのです。

ですが、この現実感があるからこそ、最後の場面がとても輝くものになっています。

この流れがとてもおもしろく素敵なのです。

男の子の豊かな発想力と純粋さ

また、男の子の考え方もとても純粋で魅力的です。

星を捕まえるために考えることが、どれも子どもらしくかわいいのです。

星と仲良くなった時に、かくれんぼしたり、散歩したりするのを空想したり。

普通は夜に捕まえに行くのに、「一番疲れているのは朝だろう」と、独自の推理から朝早くに探しに行ったり。

星を捕まえるために、投げ縄、ロケット、カモメなど、色々なことを試してみたり。

海に映る星を見て、赤ちゃんの星が落ちてしまったんだと思ったり。

どれも、子どもらしい純粋な解釈と一生懸命さを見ていると、願いが叶って欲しいと心から思えるのです。

色々な想像がふくらむ最後の場面

さて、そんな物語の最後の場面は、見た人によって感じ方が変わるものになっています。

最後の場面で男の子はあるものと出会います。

それが「星なのか?そうでないのか?」はっきりとは語られずに終わるのです。

子どもたちも、

「あれって星なのかな?」

「えー違うよ!」

「やっぱり星だったのかも」

など、意見がわかれていて、答えは出ませんでした。

ここまで、どちらか考え方が割れるのは、きっとここまでの話がとても現実的だったからでしょう。

宇宙にある星は取れないという、現実的な流れがあるからこそ、最後まで現実的なのか、最後の最後で奇跡が起こったのか悩むのだと思います。

ただ、一つ確実なのは、男の子がとても嬉しそうなこと。

どちらだとしても、男の子が幸せなのは変わらないというのも、この絵本の粋で素敵なところです。

二言まとめ

絵本とは思えない現実感で、星探しをする男の子の姿が少し切ない。

だからこそ、最後に見せる男の子の笑顔がとても嬉しい絵本です。

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