作:塚本やすし 出版:ポプラ社
ゴキブリが家に現れたらもう大変。
阿鼻叫喚に包まれることでしょう。
あの恐怖を追体験して、みんなで騒げる絵本です。
あらすじ
いつもの夕食の時間。
お父さん、お母さん、ぼく、妹の4人でご飯を食べていた。
その時、ネコのタマの敷物の下から顔を出したのは・・・。
ゴキブリだ!
逃げたゴキブリを、お父さんがすかさず新聞紙で捕まえます。
ゴキブリを新聞紙でくるんだお父さんは自慢げな顔。
家族からも称賛の声があがります。
と、その時・・・。
新聞紙から捕まえたゴキブリが顔を出したのです。
頼りにしていたお父さんは固まってしまいました。
元気に走っていたゴキブリが今度は・・・。
飛びました!
みんな必死で非難します。
なんとか椅子の上に上がり一安心。
ところが、さっきまでいたゴキブリの姿が見えません。
どこに行ったか探していると、お父さんの頭の後ろから顔をのぞかせるゴキブリ。
またもや家族は大パニック!
家族の平穏は取り戻せるのでしょうか・・・?
『あっごきぶりだ!』の素敵なところ
- ゴキブリが現れた時のパニック感がリアル
- ゴキブリへの反応がリアル
- 対ゴキブリ用救世主の強さ
ゴキブリが現れた時のパニック感がリアル
この絵本のおもしろいところは、ゴキブリが出た時のパニック感が、ものすごくリアルに表現されていることでしょう。
まるでモンスターでも現れたかのような緊張感。
近づいてきた時のパニック感。
見失った時の恐ろしさ。
見ていると、家にゴキブリが出た時のことを思い出させてくれます。
家で出ると笑い事じゃないからこそ、こうして他人事として見るのがおもしろいのかもしれません。
きっと、一度でもゴキブリの恐怖を味わったことがある人なら、楽しめることでしょう。
ゴキブリへの反応がリアル
パニック感だけではなく、ゴキブリの行動に対する、家族の反応もリアルです。
捕まえて安心していたら、そこから這い出てきた恐怖。
固まるお父さんの表情は「無」。
きっと、自己防衛本能から心を無にしたのでしょう。
自分でも、実際に手元から出てきたら、パニックを通り越して思考を停止すると思います。
さらには飛ぶゴキブリ。
こんなことされた日には、もうパニック間違いなし。
絵本と同じように、逃げ惑うことでしょう。
ゴキブリへの反応に、ビックリするほど共感できるのが、この絵本の素敵なところ。
その証拠に子どもたちも、
「うわ~!いやだー!」
「うちも飛んだことある!怖い!」
「ぎゃー!ひ~!」
と、まるで本当にゴキブリが出たかのような大騒ぎ。
家での光景が鮮明に頭に浮かんでいる様でした。
対ゴキブリ用救世主の強さ
そんな騒動を収めたのは、まさかの救世主でした。
全く怖がる子ともなく、もてあそぶ強さと安心感。
パニックになる家族が滑稽に見えるほどの、堂々とした姿はまさに勇者。
おかげで、家族に平和が戻ります。
これを見ると、「なんでゴキブリを怖がるんだろうな」という哲学的な考えが頭に浮かび、ゴキブリも怖くないんじゃないかと思えてくるから不思議です。
でも、家に出たら結局パニックになることでしょう・・・。
二言まとめ
家にゴキブリが出た時の恐怖感とパニック感を、リアルに再現してしまった。
その時のことを思い出しつつ、他人事なので楽しく騒げるドタバタ絵本です。
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