作:アラン・アルバーグ 絵:ブルース・イングマン 訳:福本友美子 出版:小学館
自分の描いた絵が動き出す。
そんな素敵な想像をしたことはありませんか。
鉛筆で描いたものが動き出し、しゃべりだしたらどんなに楽しいことでしょう。
えんぴつくんにはそれが出来るようですよ。
あらすじ
昔あるところに鉛筆が一本あった。
長いことそこらへんに転がっていたが、ある日むくりと起き上がり何かを描き始めた。
えんぴつくんは男の子を描いた。
すると「僕に名前を付けて」と言った。
バンジョーと名前を付けた。
バンジョーは犬を描いてくれと言った。
えんぴつくんは犬を描いた。
名前はブルース。
するとブルースは猫を描いてと言った。
そこでえんぴつくんは猫を描いた。
名前はミルドレッド。
1人と2匹は追いかけっこを始めた。
えんぴつくんが家や道や公園を描くとその中へ入ったり行ったり来たり。
するとお腹が空いてきたので、えんぴつくんに食べ物を描いてもらった。
ところが食べられない。
だって白黒だったから。
そこで、えんぴつくんは筆を描いた。
名前はキティ。
キティはえんぴつくんの描いたものに色を塗っていった。
色々なものを描いては塗った。
しかし困ったことになってきた。
「帽子が変」「耳がでかい」など文句を言いだしたのだ。
そこでえんぴつくんは消しゴムを描いた。
消しゴムが消して、えんぴつくんが描き直し、キティが色を塗る。
みんなはご機嫌になった。
ところが消しゴムが他のものまで消し始めた。
どんどん色んなものを消していく。
街のみんなや家、キティまで。
残ったのはえんぴつくん1本になってしまった。
えんぴつくんまで消されてしまうのでしょうか。
ピンチのえんぴつくんが描いたものとは。
『えんぴつくん』の素敵なところ
- 描いたものが動き出す素敵な世界観
- えんぴつくんが問題を解決するために見せる発想力
- えんぴつくんの描く絵が上手過ぎない
描いたものが動き出ししゃべり出す。
絵を描くのが好きな人なら一度は夢見る想像だと思います。
それが絵本の中で実際に起こると心がワクワク。
見終わった後、「私の絵も動くかな」と目をキラキラさせて言っていました。
子どもがこれだけ感情移入できるのにはえんぴつくんの発想力が大きく影響していると思います。
色を塗るために筆を描く。
描き直すために消しゴムを描く。
といった、子どもにもしっくりくる発想なのです。
なおかつ、全ての困っていることを解決できる根本的な解決法でもあり、
何を描くか見た子どもは「なるほど~」ととても納得した顔をしていました。
また、えんぴつくんの描く絵が上手過ぎず、自分でも描くことが出来そうな絵なのも感情移入のしやすさを手伝っていると思います。
世界観も物語も、絵の雰囲気もとても身近に感じられる、親しみやすく夢もある絵本です。
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