作:柴田ケイコ 出版:白泉社
海で出来立てドーナツを売るペンタくん。
とても美味しくて、動物たちに大人気。
でも実は、ペンタくんにはもう一つの顔があったのです。
あらすじ
ペンギンのペンタくんは、ドーナツ屋さんです。
頭のドーナツがトレードマーク。
夏になると、キッチンカーで海水浴場へやってきます。
場所を決め、看板を出すと、早速たくさんのお客さんがやってきました。
動物たちがドーナツを買っていく中、ライオンがドーナツを買いに来ました。
ライオンは「ぼくの顔のドーナツを作ってよ」と注文します。
自信のなさそうなペンタくん。
ですが、出来たドーナツはライオンに全然似ていませんでした。
ライオンはしょんぼりしながら買って帰りました。
それを見て、頭を下げ続けるペンタくん。
そこへ、ネコちゃんがドーナツを買いに来ました。
ネコちゃんも、ネコのドーナツが欲しいと言います。
でも、出来たのはまるでネズミのドーナツ。
ネコちゃんも、がっかりしながら買って帰りました。
次に来たのはヘビくんです。
これはとてもそっくりに出来ました。
・・・が、とぐろを巻いた形だったので、別のものに見えてしまいます。
出来栄えにがっかりしていたライオン、ネコちゃん、ヘビくんでしたが、気を取り直して食べてみると、その美味しいこと。
形はヘンテコでも、味はとても美味しいドーナツでした。
と、そこへやってきたのがゾウさんでした。
ゾウさんはなんと、ペンタくんの頭に乗っている大きなドーナツが欲しいと言ってきました。
ペンタくんが売り物じゃないと言っても、ゾウさんは聞きません。
それどころか、頭のドーナツをじっくり見た他の動物たちも、欲しいと言い出したではありませんか。
ペンタくんが、他の動物たちに詰め寄られ、後ずさりしたその時。
「たすけてー」
と、海の方から叫び声が聞こえてきました。
すぐに胸の望遠鏡でのぞくペンタくん。
海で子ブタくんが溺れています。
それを確認したペンタくんは・・・。
『ドーナツペンタくん』の素敵なところ
- 美味しそうな揚げたてドーナツ
- 次々できるヘンテコドーナツ
- ペンタくんのかっこいい正体とまさかの新商品
美味しそうな揚げたてドーナツ
この絵本を見て、最初に思うことは「ドーナツ食べたい~」でしょう。
表紙からすでに美味しそうなドーナツ。
どれにしようか悩んでしまいます。
子どもたちも、本編が始まる前から、
「わたしイチゴのがいい!」
「チョコがいいな~」
「抹茶もあるよ!」
と、ドーナツ屋さんに来たかのような盛り上がりを見せていました。
さらにお客さんの「揚げたてだって」と言う言葉や、店先に並ぶドーナツからの湯気に、想像が膨らみます。
「あったかいんだろうな」「きっとふわふわだろうな」と、食欲が刺激され、本当にドーナツの甘い匂いが漂ってくるようです。
見ているだけでよだれが垂れそうになる、美味しそうなドーナツの数々は、この絵本の大きな魅力です。
次々できるヘンテコドーナツ
そんなおいしいドーナツを作るペンタくんにも、弱点がありました。
それは造形が苦手なこと。
動物たちに、自分そっくりなドーナツを作ってくれと言われ、挑戦しますがうまくいきません。
ライオンはつぶれた星みたいだし、ネコはまるでネズミみたいです。
これには期待に胸を膨らませる子どもたちもびっくり。
「えー!?変な顔!」
「ネコじゃなくてネズミじゃん!」
と大笑い。
中でもヘビは「うんちだー!」と大爆笑でした。
でも、苦手なことがあるペンタくんだからこそ、愛着が湧くのでしょう。
苦手だけど挑戦し、失敗したら心から謝るその姿はとても素敵。
それに、味はとてもいいので、みんな最後は笑顔です。
ペンタくんのかっこいい正体とまさかの新商品
さて、失敗もご愛嬌のペンタくんですが、実はもう一つの顔がありました。
その顔は、さっきまでの笑顔や、困った顔とは大違い。
鋭い目つきに、素早い動き。
同一人物とは思えないくらいです。
その姿に、
「すっげー!」
「かっけー!」
と、全く反応が変わる子どもたち。
ペンタくんを見る目がすっかり変わっています。
また、頭のドーナツにも大きな秘密があり、こちらにもびっくり。
その秘密を知った動物たちが欲しがって、すっかり人気商品になってしまいました。
この、ドーナツを売っている時の温和なペンタくんと、もう一つの顔のギャップも、この絵本のとてもおもしろく素敵なところです。
二言まとめ
ドーナツを売るかわいいペンタくんと、もう一つの顔のかっこいいペンタくんのギャップがおもしろい。
見ているだけで、揚げたてドーナツが食べたくて、よだれが出てくる絵本です。
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