作・絵:バイロン・バートン 出版:金の星社
線路を走る一本の電車。
この電車が走って行く姿を追いかけます。
貨物列車とすれ違ったり、街の中を走ったり、トンネルを抜けたり・・・。
電車の旅に出発進行!
あらすじ
山の中を一本の線路が走っています。
そこに、赤い電車が走ってきました。
電車の中にはお客さんがいっぱいです。
電車がトンネルを抜けた時、向こうの線路では貨物列車が鉄橋を渡るところです。
貨物列車は色んな荷物を運んでいます。
次のトンネルを抜けると、向こうのトンネルから蒸気機関車が出てくるところでした。
次のトンネルからは黄色い電車が出てきます。
そんな中、赤い電車は、線路を直しているおじさんたちの横を抜け、夜も頑張って走っています。
お客さんは、電車の中で眠っています。
踏切を走り、赤い電車は街の中へ。
そして、電車が到着したところは・・・。
『でんしゃ』の素敵なところ
- 一本の電車を追いかける長い旅
- 旅の途中の楽しい出会い
- お客さんにも車掌さんにもなれる物語
一本の電車を追いかける長い旅
この絵本では、赤い電車を追いかけて長い旅が続きます。
山を越え、いくつものトンネルを通り、踏切を越え、街を抜け、夜も休まず走ります。
そんな長旅をともにするからこそ、赤い電車に愛着がわくのでしょう。
主人公となる電車が一本あることで、子どもたちがその電車を探すのです。
他の電車とすれ違う場面でも、「しゅっしゅっぽっぽだ!」と他の電車を指さしテンションが上がりつつも、しばらくすると「電車こっち!」と、赤い電車に意識が帰ってきます。
自分が赤い電車を追いかけていることがわかっているからでしょう。
そして、「次はどこに行くんだろう?」「赤い電車どこかな?」と、自分の電車を探す楽しみが生まれます。
この「自分の電車」と走っている感覚が、この絵本のとても楽しくて素敵なところです。
旅の途中の楽しい出会い
そんな赤い電車は旅の途中で、たくさんのものと出会い、すれ違っていきます。
この出会いが、子どものテンションが上がるものばかりなのも素敵なところ。
特に電車や乗り物好きなど、この絵本を選ぶであろう子どもの大好物が詰まっています。
貨物列車、蒸気機関車、トンネル、踏切、線路工事、バス、車・・・。
「バス!」
「しゅっしゅっぽっぽ!」
「カンカンカン!(踏切)』
「くるま!」
と、見た瞬間に言葉と指差しが止まりません。
乳児から幼児まで、自分の持てる言葉でその嬉しさを伝えてきます。
電車を好きな子には、たまらない要素がこれでもかと散りばめられているのです。
お客さんにも車掌さんにもなれる物語
さて、そんな電車には、しっかり人が乗っているのも素敵なところ。
人が乗っていることで、小さい子も自分が電車に乗っている気分を味わえるのです。
電車に乗る人を見て、子どもたちは自分をその人に投影します。
ここで嬉しいのが、運転手さんにもお客さんにもなれるところ。
「ぼくは運転手さん!」
「私はママとここに乗ってる!」
など、自分の座りたい席に座れます。
電車が走るのを外から見るだけじゃなく、電車に乗って旅をする気分も味わえるのです。
絵や文章がシンプルだからこそ、色んな遊び方ができるのも、この絵本の素敵なところです。
二言まとめ
一本の電車とともに、色々な場所を走り、様々なものを見ることができる。
読めば、たくさんの発見に、指差しと言葉が止まらない乗り物絵本です。
コメント