作:ジョン・バーニンガム 訳:谷川俊太郎 出版:冨山房
赤ちゃんがいるとどんな感じなんだろう?
それを、お兄ちゃんが教えてくれます。
かわいい時も好きな時も、大変な時も嫌いな時もあるんです。
あらすじ
男の子の家には、小さな赤ちゃんがいる。
赤ちゃんって・・・
ご飯をめちゃくちゃにする。
乳母車に乗せて、散歩に連れていく。
お風呂に入れる時は、男の子も手伝う。
小さなベッドで眠る。
男の子はミルクを上げる時など、赤ちゃんが好きな時もあるし、
お母さんが赤ちゃんを抱っこしている時など、嫌いな時もある。
赤ちゃんはまだ男の子と遊べない。
早く大きくなって欲しい。
『あかちゃん』の素敵なところ
- 子どもの目線で見た等身大の赤ちゃん
- お兄ちゃんの赤ちゃんに対する純粋な気持ち
- 赤ちゃんが大好きなお兄ちゃんの姿
子どもの目線で見た等身大の赤ちゃん
この絵本の素敵なところは、兄弟という、子どもの目線で見た赤ちゃんが描かれているところです。
ご飯をぐちゃぐちゃにする、乳母車で散歩に行く、小さなベッドで眠る・・・。
どれも、見たままの赤ちゃんの姿をそのまま描いています。
そこに「いい」「わるい」というような気持ちはありません。
ただ、赤ちゃんという自分とは違う存在に驚き、関わっていることが感じられます。
だからこそ、子どもにも、その感覚が伝わりやすいのでしょう。
「赤ちゃんってこんな感じなんだ」と、素直に思えるのです。
同時に、赤ちゃんがいる子には、「うちも一緒だよ」と共感が持てるのだと思います。
お兄ちゃんの赤ちゃんに対する純粋な気持ち
そんな赤ちゃんに対するお兄ちゃんの気持ちは、楽しいものばかりではありません。
お母さんが、赤ちゃんを抱っこしたりしていると、赤ちゃんを嫌いになる時もあるのです。
この兄弟特有の、嫌な気持ちも表現しているのがとても素敵なところ。
きっと、兄弟がいる子は、この気持ちにとても共感するでしょう。
そして、絵本の中で描かれることで、「自分だけじゃないんだ」と安心すると思います。
でも、好きな気持ちと嫌いな気持ち、両方を持ちつつも、みんな思っているのは絵本の最後に出てくる言葉。
「早く大きくならないかなあ」
ではないでしょうか?
兄弟が日々感じている思いを、言葉にしてくれているのも、この絵本の魅力的で心強いところです。
赤ちゃんが大好きなお兄ちゃんの姿
さて、そんなお兄ちゃんは、絵本の中で描かれる姿を見ているだけで、赤ちゃんに興味津々なのが伝わってきます。
乳母車を一緒に押したり、お風呂に入れる手伝いを楽しそうにしていたり、ベビーベッドをのぞき込みに来たり・・・。
その一挙手一投足から、赤ちゃんが大好きで、気になって、大切にしていることが伝わってくるのです。
それが絵本全体の「赤ちゃんがいたら楽しそう!」という空気感に繋がっているのでしょう。
赤ちゃんがいない子には、
「大変そうだけど、やっぱり赤ちゃんがいるって楽しそうだな~」
と思わせてくれる。
そして、赤ちゃんがいる子には、
「そうそう、けっこう大変なんだよね。かわいいんだけど」
と共感させてくれるところが、この絵本の懐の深いところです。
二言まとめ
お兄ちゃんから見た赤ちゃんの姿や、赤ちゃんへの気持ちがありのままに描かれた。
赤ちゃんの大変さと、かわいさの両方を等身大で伝えてくれる絵本です。
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