文:ジム・ヘルモア 絵:リチャード・ジョーンズ 訳:福本友美子 出版:フレーベル館
環境が変わって不安な時。
いつでも話を聞いてくれ、受け入れてくれる友達がいたら安心します。
もし、それがライオンだったらどんな風になるでしょう。
あらすじ
カロはママと二人で新しい家に引っ越して来ました。
誰かと一緒に遊べたらいいのにと毎日思っていると、ある日なにか音がしました。
振り向くと、そこには真っ白なライオンがいました。
ライオンは「かくれんぼをしよう」と言いました。
ライオンが真っ白な壁に寄り掛かると消えてしまったようでした。
二人は寝る時間までずっとかくれんぼをしていました。
次の朝、外を見ると凧揚げをしている男の子と目が合い、男の子は手を振りました。
しかし、カロは恥ずかしくて目をそらしました。
その後も毎日ライオンと遊びました。
そして、一週間が経った時、ライオンが公園で遊んだりしないのか聞きました。
カロは家でライオンと遊ぶ方がいいと言いましたが、ライオンは「待っててあげるから」とカロを公園へ送り出しました。
カロが公園に行くとこの前手を振ってくれた男の子がいました。
名前はボビーです。
二人は鬼ごっこをしました。
次の日、ボビーがやってきて、友だちと遊ぶのに誘われました。
カロは知らない子が来ることに不安でしたが、ライオンは優しく送り出しました。
カロはみんなと遊び、ケーキも食べました。
次の朝、白い壁に色を塗ることになりました。
カロは「白いままでいい」ともごもご言いました。
でも、ママはカロの新しい友だちを招いてペンキ塗りパーティーをしました。
やがて、家じゅうの壁が色々な色になりました。
その夜、カロはライオンを探し回りましたが、家じゅうのどこにも白いところはありませんでした。
白い場所がなくなって、ライオンはどこに行ってしまったのでしょう。
また、会うことは出来るのでしょうか。
『だいすきライオンさん』の素敵なところ
- ライオンのモフモフ感
- ライオンのカロを気遣う優しい言葉
- 新しい居場所を見つける勇気をくれる
この絵本を読んでいて直感的に素敵だなと思うのが、ライオンのモフモフ感です。
カロが抱きついたり、寄りかかっているときの気持ちよさそうなこと。
それだけで触ってみたいな、一緒に暮らしてみたいなと愛おしく思えます。
そのライオンのカロを優しく励ます言葉が見る人にも勇気や温かさをくれます。
それはただ優しいだけじゃなく、カロのこれからのことを考えて出る言葉。
きっと自分も寂しいけれど、カロにとって一番いいと思ったことを勧める言葉。
でも、一方的じゃなくて、カロの不安に寄り添う言葉。
そんな二人のやり取りはカロと同じような不安の中にいる人に勇気をくれると思います。
ライオンと同じ役割が、ぬいぐるみの子、お気に入りのタオルの子、ミニカーの子、
色んな子がいると思います。
この絵本はそんな役割を持ったものたちに言葉を与えてくれているのかもしれません。
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