文:有田奈央 絵:喜湯本のづみ 出版:交通新聞社
パン電車は、全部パンで出来てる電車。
お客さんは、電車の中のパンを自由に食べられます。
でも、みんながパンを食べていくと、パン電車の様子が・・・。
あらすじ
ウサギは、おばあちゃんの家に行こうと、駅のホームで電車を待っていました。
ですが、現れたのはパンで出来たパン電車。
ウサギはびっくりしましたが、電車に乗ってみることにしました。
つり革から、イスまで中もパンで出来ています。
ウサギがパンを手に取り食べてみると、その美味しいこと。
しばらくすると、次の駅でブタが乗ってきました。
ブタもパンが美味しいことに気付き、ウサギと一緒に夢中で食べました。
次の駅ではクマが乗ってきました。
みんなでパンを食べていると、うさぎがあることに気付きます。
パン電車が少し小さくなっているのです。
さらに次の駅では、ネズミがたくさん乗ってきました。
ネズミたちもパンを食べると、パン電車はさらに小さくなっていきます。
そして、みんなでパンを食べ続け、車内のパンもとうとう最後の一つになりました。
最後の一つはメロンパン。
ですが、だれも譲らず、メロンパンの取り合いに。
すると、パン電車がはじけ飛び、動物たちも空高く飛ばされてしまったのです。
飛ばされた動物たちはどうなってしまうのでしょう?
ウサギはおばあちゃんの家に辿り着けるのでしょうか?
『パンでんしゃ』の素敵なところ
- ホカホカで美味しそうなパンの数々
- 食べるたび、小さく弱々しくなっていくパン電車
- 予想外なパン電車の秘密
ホカホカで美味しそうなパンの数々
この絵本の素敵なところは、なんと言っても美味しそうなホカホカのパン。
絵を見ているだけで、こんがり感とふっくら感が伝わってきます。
しかも、バリエーションも豊富。
あんぱん、チョココロネ、クリームパン、バターロール、マヨコーンパン・・・。
まるで、パン屋さんかのような品揃えで、片っ端から食べたくなってしまいます。
極めつけは立ち昇る湯気。
焼き立てホカホカの香りが漂ってきそうです。
それを美味しそうに思い切り頬張る動物たちと、そのとろけるような表情を見ていたら、パンを食べたくなること間違いなし。
パンが美味しそう過ぎるのは、この絵本の大きな魅力です。
食べるたび、小さく弱々しくなっていくパン電車
そんな車内のパンですが、食べていくたび、パン電車の本体が小さくなっていきます。
しかも、最初はニコニコしていた表情が、疲れてヘロヘロになっていくのです。
でも、ウサギしかそのことに気付いていません。
なんなら、ウサギも気付きつつ、パンを食べ続けているから大変です。
子どもたちは、動物たちの食欲と、反比例して弱っていくパン電車にハラハラドキドキ。
「もう、食べない方がいいよ!」
「電車無くなっちゃうよ!」
「みんな気付いてー!」
と、状況のまずさを伝えようと必死です。
この動物たちと、子どもたちの温度感のギャップも、この絵本のとても楽しいところです。
予想外なパン電車の秘密
さて、パンを食べ過ぎ、取り合いになった結果、はじけ飛んだパン電車。
その最後の場面で、パン電車の秘密が明かされます。
パン電車を作ったのは、まさかの人物だったのです。
さらには、その作り方も。
これには子どもたちもびっくり。
「えー!?すごすぎ!」
「こんな風に作ったの!?」
「パン工場みたいじゃん!」
と、その人物の予想していたイメージとの違いに驚いていました。
ちゃんと、色々な伏線回収がされ、とてもすっきりした気持ちで終われるのも、この絵本の素敵なところです。
二言まとめ
パンと電車の夢の組み合わせと、パンを食べると電車が小さくなるというジレンマが楽しい。
なにはともあれ、読んだらパン屋さんに駆け込みたくなる、おいしそうな絵本です。
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