お元気様です!
登る保育士ホイクライマーです。
最近、子育てで「自己肯定感が大切」とよく言われます。
「褒めて育てる」などもその一環と言えるでしょう。
では、「自己効力感」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?
実は、子育ての中で、自己肯定感と同じくらい大切なのに、あまり知られていなかったり、自己肯定感と混同されがちな言葉です。
今回は、この自己効力感に焦点を当て、自己肯定感との違いや、なぜ大切なのか、高めていくための方法などをお伝えしていきます。
自己効力感は、幼児教育だけではなく、学校教育や部下の教育など、生涯を通じて大切な考え方です。
この言葉を知らなかった人、詳しくは知らない人だけでなく、知っているけれどどうしたら高められるかわからない人にも参考になると思います。
では、いってみましょう!
自己肯定感と自己効力感の違い
まず始めに、自己肯定感と自己効力感の違いについて説明します。
簡単に言うと、
- 自己肯定感:ありのままの自分を認め、大切だと思える感覚
- 自己効力感:自分ならできる、達成できるという感覚
となります。
要するに、自己肯定感はなにもできなくてもいいのです。
「できる・できない」に関わらず、存在そのものを認められ、そこにいるだけで価値がある。
「なにかができなくても、自分の価値は変わらない」
そんな感覚です。
対して、自己効力感は「できる」ようになっていく感覚です。
以前はできなかったことができるようになる。
「あれもできたんだから、これもきっとできる」
そんな感覚です。
似ているようで、まったく違う自己肯定感と自己効力感。
混同されがちですが、それぞれ高め方が違うので、この違いをしっかりと認識しておくことが大切です。
自己効力感の重要性
では、自己効力感はなぜ高める必要があるのでしょう?
それは、挑戦心やポジティブな考え方に繋がっていくからです。
自己肯定感が安心できる家だとしたら、自己効力感は新しいところへ行くための車です。
家だけでも生きてはいけますが、外へ冒険に出かけた方がより生活を充実させられるでしょう。
そして、車の性能が上がれば、より遠くへ悪路へと乗り出していけます。
「ブロックを掴めるようになった」→「くっつけられるようになった」→「車を作れるようになった」
というように、「できた」は「やりたいに」繋がります。
「やりたい」と思った時に「自分ならできる」と思えれば、挑戦へと繋がっていくのです。
また、自己効力感が高いと、「小さなできた」に気付けるようになります。
「逆上がり」が「できるorできない」など、「大きなできた」だけ見ると、達成の道のりが長く険しいものほど「できない」が積み重なり辛くなります。
ですが、その中には「腕を曲げ続けられるようになった」「うまく蹴れるようになった」「足が腰よりも高く上がるようになった」など、「小さなできた」がたくさんあるはずなのです。
自己効力感が高いと、この「小さなできた」を見つけられるようになります。
すると、大きな結果は達成できなかった時も、「小さなできた」をたくさん見つけ、学びへと変えていくことができます。
これが物事をポジティブに考える力へと繋がっていくのです。
自己効力感を発揮するためには、最低限の自己肯定感が必要
次に、自己肯定感と自己効力感の関係性を見ていきます。
基本的には、互いが互いを高め合う関係にあるので、両方を高めていくのが理想的です。
「失敗しても自分の価値は下がらない」という自己肯定感が挑戦を生み、そこで「できた」自信が自己効力感を高める。
自己効力感の高まりでなにかをやってみて、「できた」という自信が、自己肯定感も高めていく。
というように、いいスパイラルを生み出していきます。
ですが、ここに大きな注意点が1つあります。
それは、最低限の自己肯定感がないと、自己効力感は発揮されないということです。
自己肯定感は安心感です。
安心・安全の上に挑戦があり、「できた」に繋がります。
愛情を受けていなかったり、常に叱られていたりと、自分の存在意義が揺らいでいる中で、挑戦などできるでしょうか?
自信以前の、心理的安心の基盤がないところに、自己効力感は働かないのです。
自己効力感を高めるためにはどうすればいいの?
では、自己効力感を高めるためにはどうしたらいいのでしょう?
おススメは、
本人が気づいていない「できるようになった」ところを伝えること
です。
自己効力感を高めるためにやりがちなのが、大きな成果を褒めること。
例えば、「逆上がりができるようになった」などですね。
でも、これってできるようになるかもわからないし、できた時には褒めなくても達成感を感じているはずです。
そして、なにより「できるようになった」と思える回数は、年間でけっこう少なくなってしまうでしょう。
自己効力感を高めるために重要なのは、日頃のなにげない成長を、見逃さずに伝えること。
「前は、折り紙を折る時はみ出してたけど、端をそろえてきれいに折れるようになったね」
「(逆上がりの時)この前は腕が伸びてたけど、曲げたまま足が上がるようになった!腕の力ついてるんじゃない?」
「昨日は着替え手伝ったけど、今日は一回も手伝わないで、自分で全部できてる!」
など、素通りしがちな小さな「できた」を伝えるのです。
そこって、自分でも気づいていないところが多いので、伝えることで「できた」の量が大幅に増えます。
さらに「できた」のハードルが下がるので、自分で「できた」を見つけやすくもなっていきます。
すると、挑戦した時、目標を達成できなかったとしても、その中での学びやできるようになったことに目が向くようになり、自分で自己効力感を高めていけるようになるのです。
これは大人でも同じですね。
「大きなプロジェクトを成功に導いた」などの大きな成功を待っていたら、いつ自己効力感を上げられるかわかったものではありません。
「新しい料理を作ってみた」「今日も早起きできた」「毎日、5分の筋トレを続けている」など、小さなできたを積み重ねる方が、確実に自己効力感があがり、次への挑戦に繋がっていきます。
日々の小さな「できた」に、気付くこと、気付かせることが自己効力感を高めることに繋がるのです。
言葉かけ具体例
ここからは「考え方はわかったけど、イマイチ実践方法がわからない」という方のために、日々の生活の中での具体例を挙げていこうと思います。
「あ~こういう感じか~」という感覚をつかむ参考になれば嬉しいです。
生活編
着替えの時「自分でそで脱げたんだ!」
靴を履く時「自分で靴はけるようになったんだね!あとはビリビリをぺったんするだけだ!」
トイレの時「昨日はトイレ嫌だって言ってたけど、今日は自分でこれたの!?」
食事編
「前はたくさんこぼしてたのに、全然こぼさないで食べられるようになったね!」
「苦手だけど、自分で一口食べるようになったんだ!」
小食の子に「半分も食べられてる!前はもっと少なかったのに、いっぱい食べるようになったね」
遊び編
「ブロック、自分でぺったんできるようになったね」
これまで負けると泣いていた子に「前は負けたら泣いてたのに、泣かずにもう一回やってみることにしたんだ!?」
「前はここまでしかボール飛ばなかったのに、すごい飛ぶようになってる!どうして飛ぶようになったの?」
大人編
「保護者への伝え方、いつもわかりやすくてすごいですよね。なんかコツとかあるんですか?」
「忙しい時も、一個一個丁寧で、漏れもないのすごいですよね。」
「○○さんがいてくれると、コミュニケーションが円滑になって助かってます。」
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、自己効力感の大切さと、その高め方についてお伝えしてきました。
自己肯定感に比べ、その重要性があまり知られていない自己効力感。
ですが、自己肯定感と自己効力感は切っても切り離せない関係にあります。
両方を高めることでしか、本当の主体性は育たないでしょう。
ただ、自己効力感を高めるのは簡単ではありません。
なぜなら、本人も気づいていない「小さなできた」に気付く必要があるからです。
そもそも、自分で「できた」と思ったことは「みてみて」と伝えてきます。
「小さなできた」を見つけるためには、継続的に相手をよく見ていくしかないのです。
そして、気付いたら「まあ、いいか」とスルーせず伝えてあげてください。
本人に気付かせることで、自己効力感は大きく高まるのですから。
最後まで見ていただきありがとうございました!
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