これはのみのぴこ(4歳~)

絵本

作:谷川俊太郎 絵:和田誠 出版:サンリード

一匹の、のみの紹介から始まるこの絵本。

そこから連想ゲームのように、関係のある人が紹介されていきます。

その広がりと、ひたすら増える紹介文がおもしろい絵本です。

あらすじ

一匹の小さなのみのぴこが跳ねています。

ぴこが跳ねているのは、ネコのごえもんの背中でした。

ネコのごえもんのしっぽを踏んでしまった男の子はあきらくん。

テーブルで漫画を読んでいるのは、あきらくんのお母さんです。

あきらくんのお母さんが、買い物に来たのはよくお団子を買うお団子屋さん。

眼鏡をかけた笑顔の男の人は、お団子屋さんにお金を貸した銀行員です。

銀行員の前にいる太っちょの人は、一緒に卓球をするお相撲さん。

お相撲さんが見ているテレビに映っているのは、お相撲さんが憧れている歌手。

お相撲さんの憧れている歌手のオウムを・・・。

まだまだ紹介は終わりません。

『これはのみのぴこ』の素敵なところ

  • ひたすら長くなっていく紹介文
  • 広がり過ぎて予想不能の関係者
  • まさかの最後の登場人物

ひたすら長くなっていく紹介文

この絵本のなによりおもしろいところは、紹介文がひたすら繋がっていくところです。

1ページに1人紹介されていくのですが、その紹介文が全て接続されていくのです。

これはのみのぴこの

住んでいるネコのごえもんの

しっぽをふんずけたあきらくんの

まんが読んでるお母さんが

お団子を買うお団子やさんに・・・

というように、登場人物が出てくるたび増えていく紹介文。

これには、子どもたちも笑うしかありません。

「なっが!」

「どこまで続くの!?」

「ちょっと長すぎない!?」

と、驚きつつ笑いつつ、どこまで長くなるかチャレンジのような雰囲気に。

この長い長い一文を見るのも、読むのも楽しすぎるのが、この絵本のとてもおもしろく素敵なところです。

広がり過ぎて予想不能の関係者

また、紹介される人物の脈絡なさも楽しいところ。

4人目くらいから、ぴこと関係なくなっていき、6人目くらいからあきらくんとも関係なくなっていき・・・。

出てくる人の関係性が遠すぎて予想がまったくつきません。

ただ、この誰が出てくるかわからない感じも、この絵本の醍醐味です。

「この人誰!?」

「銀行員なんて知らないよ~」

など、出てくるたびに関係性が気になってしょうがありません。

「お相撲さんと仲良しなんだ!?」

「お相撲さん、歌手になりたいのかな?」

と、予想外だからこその想像も広がっている様でした。

まさかの最後の登場人物

さて、そんな長い長い紹介の最後の登場人物は、なんとも不思議でおもしろいものでした。

一周回っているようでそうでもなく、ちょっとずらされている最後の1人。

完全に一周回っていたら、

「戻ってきた!」

と、スッキリ終わるのですが、そんなこともありません。

だからこそ、なんだか不思議な気分になります。

また、一周回っていないからこそ、さらに紹介文を続ける遊びに繋がりやすいのも素敵なところ。

最後の一文から、さらに次の一周を自分でも考えてみたくなるのです。

一周回らないからこその、さらなる遊びの広がりもこの絵本の素敵なところです。

二言まとめ

予想もつかない登場人物と、ひたすら繋がっていく文章がおもしろい。

聞いている人も、読んでいる人も、読み終わった後の達成感が凄い言葉遊び絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました