作:みやまつともみ 出版:福音館書店
憧れの働く車たち。
そんなかっこよくて、本物そっくりな車が大集合。
見たらきっと「のりたいな」と思う絵本です。
あらすじ
乗ってみたい車がページを開くたび出てきます。
まずは、手紙を運ぶ郵便車。
次は、ごみを集めるゴミ収集車。
荷物を届ける宅配車。
ミキサーくるくるコンクリートミキサー車。
赤いランプがピカピカ光るパトロールカー。
どんどん出てくる働く車。
次は何が出てくるでしょう?
『のりたいな』の素敵なところ
- ディテールまで本物と同じリアルな車
- 子どものテンションを上げる車のチョイス
- 地元への愛を感じる最後の乗り物
ディテールまで本物と同じリアルな車
この絵本のなにより素敵なところは、乗り物が本物そっくり過ぎることです。
貼り絵で描かれた車たちですが、驚く程にリアルです。
これが、形や質感だけにとどまらないのがすごいところ。
郵便車なら「日本郵便」というロゴ。
宅配車はクロネコヤマトのマークに「ヤマト運輸」と社名まで入っている。
パトカーには神奈川県警察の文字。
といったように、出てくる乗り物にぼかしがありません。
それっぽい車ではなく、街中で走っている車そのものなのです。
ディテールを本物と同じにするだけで、こんなにもリアルさが増すのかと驚きです。
子どもたちも、「クロネコヤマトだ!」と、よく知っているマークに食いついていました。
自分の知っているのと同じ車というだけで、「のりたいな」という気持ちも強くなるみたいです。
子どものテンションを上げる車のチョイス
また出てくる車のチョイスが秀逸なのも、素敵なところ。
緊急車両、重機、人や荷物を運ぶ車など、バランスよく色々な車が出てきます。
そのどれもが、車好きの子のテンションを上げるものばかり。
そのチョイスには歌の「はたらくくるま」に通じるものがあります。
ページをめくるたび、小さい子から大きい子まで、
「バスだ!」
「あ!宅急便!」
「収集車!」
と、大盛り上がり。
車の大好きな2歳児の子は、終わるたびに「もう一回!」とエンドレスで見続けるほど。
働く車の魅力が詰った一冊になっているのです。
地元への愛を感じる最後の乗り物
さて、そんなこの絵本の最後を飾る一台は、まさかのかなりマニアックなものでした。
これには子どもも「?」となる子も多く、知らない子がたくさん。
ただ、この一台には地元愛が溢れるほど感じられます。
この絵本の車は、全部神奈川県藤沢市のものです。
バスはかなちゅうで藤沢駅行き。
パトカーは神奈川県警察。
消防車は藤沢市消防本部。
おそらく、この最後の一台はその地元ではみんな知っているものなのだと思います。
きっと、その地域の人には大いに盛り上がるものでしょう。
これも本物をリアルに再現しているからこそだと思います。
そんな伝わる人には伝わる、地元愛に溢れた一台をあえて入れてくるところも、この絵本の魅力溢れるところです。
藤沢市の人でなくても、自分の地元で走っているものと関連付けることもできるので、自分の地元を走るものの名前を伝えてあげたいところですね。
二言まとめ
企業のロゴまで再現された、リアル過ぎる乗り物にテンションが上がる。
車好きの子が、心の底から「のりたいな」と思える、乗り物愛と藤沢愛に溢れた絵本です。
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